研究概要 |
1.破骨細胞形成系を用いた骨吸収因子のスクリ-ニング系の確立 マウス骨芽細胞と脾細胞の共存培養系で破骨細胞が形成されることを既に明らかにしたが、この方法を用い骨吸収調節因子のスクリ-ニング系を確立した。この評価系において大部分の骨吸収因子[1α,25(OH)_2D_3,PTH,PGE_2,ILー1等]は骨芽細胞を介して破骨細胞前駆細胞の分化を促進することが示された。一方、メチルセルロ-ス中で造血因子の存在下で骨髄細胞を培養し、形成されたコロニ-より骨髄細胞を集め更に骨芽細胞と共存培養し、コロニ-に含まれる破骨細胞前駆細胞数を計測する方法も確立された。この方法を用いて、破骨細胞前駆細胞の増殖に対する各種造血因子を検討したところ、マクロファ-ジコロニ-刺激因子(MーCSF)が破骨細胞前駆細胞の増殖を特異的に促進することが示された。 2.破骨細胞の骨吸収能評価系の確立 破骨細胞を骨組織より集めることはきわめて困難である。我々は、試験管内で形成された破骨細胞を効率よく集め、感度のよい骨吸収評価系を確立した。前述した共存培養をコラ-ゲンゲル上で行った後に、コラゲナ-ゼで消化し破骨細胞画分を集めた。この破骨細胞を象牙切片状で培養し、形成された吸収窩を画像解析装置を用いて定量化し、破骨細胞の骨吸収活性に及ぼす各種因子の評価系とした。カルシトニンは破骨細胞による吸収窩形成を強力に抑制した。また、bafiromycin A_1(液胞型プロトンATPaseの阻害剤)も吸収窩形成を強力に抑制し、破骨細胞の波状縁に存在するプロトンATPaseは液胞型であることが示唆された。 以上のように、破骨細胞前駆細胞の増殖過程、破骨細胞への分化過程そして破骨細胞の骨吸収過程を各々の段階で評価する方法が確立されたこれらの方法は、骨吸収因子のin vitroでの評価系としてきわめて有用であろう。
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