研究分担者 |
清水 紀子 朝日大学, 歯学部, 助手 (00210865)
足立 正徳 朝日大学, 歯学部, 助手 (60076057)
若松 宣一 朝日大学, 歯学部, 助手 (00158594)
後藤 隆泰 朝日大学, 歯学部, 講師 (30121320)
森脇 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (90028738)
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研究概要 |
前年度までの研究により,コラ-ゲンにリン蛋白を架橋し,アルカリフォスファタ-ゼ処理したものをβーグリセロリン酸カルシウム溶液に浸すと,コラ-ゲン近傍の無機リン酸濃度を他の部位に比べ相対的に高めることができ,コラ-ゲン線維上にアパタイトを優先的に折出し得ることが明らかとなった。本年度では、シ-ト状コラ-ゲンに同様の方法を試み,先ずアパタイトをコラ-ゲンシ-トに析出させ,自己硬化型アパタイトセメントの硬化促進材として,このコラ-ゲンシ-トを利用し,アパタイトセメントを人工組織液中でアパタイトに変換し,最終的にはアパタイト含有量を増大した。アパタイトーコラ-ゲン複合体を試作し種々の機械的諸性質を検討した。アパタイト析出処理をしたシ-トコラ-ゲンを2枚積層した試料を4点曲げ試験に供すると,曲げ強度それ自身は大きく変わらないもの,破壊に用するエネルギ-は5〜10倍以上高くなることが明らかとなり,かなり靭性に當んだ複合体を試作することができた。さらに,複合体としてのアパタイトは,種々の点(結晶子の大きさ,形状,炭酸イオン含有など)で骨アパタイトに極めて類似していることも示された。アパタイトを析出させたコラ-ゲンシ-トを積層させる方法に改良の余地(例えば,積層枚数,積層方向ー水平,垂直)があり,現在検討中である。また,通常の再線維化コラ-ゲンより作制したアパタイトーコラ-ゲン複合体も動物実験に供し,生体親和性などについて調べている。この複合体は,アパタイト含有量がそれ程多くないため,複合体全体が弾力性を有し,填入時の操作性が優れているとの見解もあるが,詳細については,現在検討中である。
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