研究概要 |
昨年度の当初の計画では、nitrosoguanidine処理により非水溶性グルカン合成酵素(gtfB遺伝子産物及びGTF-Id)を過剰産生するStreptococus mutans,Streptococcus sobrinusの突然変異株を作成し、このようにして得た変異株により齲蝕ワクチンの免疫原を産生する予定であった。しかし、S.mutans S.sobrinusのそれぞれについてnitrosoguanidineによる変異株10,000コロニ-をスクリ-ニングしても目的の変異株は作製できず、研究方針の大きな変換を余儀なくされた。新たな研究方針では現在本教室が既に所有しているS.mutansのgtfB遺伝子及びS.sobrinusのgtf-Id遺伝子をEscherichia coliとS.mutans間のシャトルベクタ-であるpVA856に組み込んだ後、両遺伝子のプロモ-タ-部分を改変して、両遺伝子の強力な発現が生じるようにする。さらに、このようにして得た修飾遺伝子を用いて、S.mutansおよびS.sobrinusの形質転換を行うことにより、効率の高いgtfB及びgtf-Id遺伝子産物の過剰産生変異株を作成することが可能である。 そこで、昨年度は、まず約6kbの両遺伝子をpVA856のPstIサイトに組み込み、このキメラプラスミドで形質転換を行ったE.coliの非水溶性グルカンの合成量の比較を行った。現在こうして得たキメラプラスミドを用いて、一方ではsite-directed mutagenesisを用いたプロモ-タ部分の修飾を行うと共に、pVA856による形質転換が確立されていないS.sobinusについては新たな形質転換方法の開発を目指しており、本年度もこの方針に基づいて研究を進めて行く予定である。
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