研究概要 |
1.βーカルボリン類の合成:海洋産βーカルボリンアルカロイドであるユ-ディストミン類、マンザミンCの全合成に成功した。またマンザミンAの中心環系であるピロロイソキノリン環の合成を達成し、フミトレモルジンB関連化合物の合成を含めて40種以上の化合物を渡辺グル-プに提供した。さらに1ー位置換テトラヒドローβーカルボリンの合成法として3、4ージヒドロ体のアルキル化反応、不斉還元の新しい方法を見出した。2.スフィンゴ脂質の合成:セレブロシドB1、および海洋産セラミド2種の全合成を達成し、合成的に絶対構造を明かにした。3.向中枢神経作用成分の検索:1)子嚢菌、地衣類のモノアミン酸化酵素阻害作用(MAOI)成分を検索した。MAOI活性のあるEmericella属より得られたNSAおよびTalaromyces属より得られた。TLー1についてin vivoで抗レセルピン作用を検討した。2)ラット胸動脈標本を用いてボルネオ民間薬の抗endothelinー1作用を検討し、降圧成分を検索した。3)担子菌アシナガヌメリよりpapaverine様のマウス小腸弛緩作用を有するHSーA,B,Cを単離した。4)子嚢菌Neosartorya fischeriより痙攣性成分のfumitremoriginA,Bの他に、催炎性成分としてNFAを単離した。4.薬理活性の評価と脳機能改善・代謝賦活・循環改善に関連する研究:中枢性機序を介した胃液分泌反応に関する検討により、ある種の脳機能改善薬は胃酸分泌を高進することを見出し、脳機能改善薬の一面を明かにした。2ーデオキシーDーグルコ-スやカプサイシンの胃損傷形成の機序を検討した。血管作用薬およびイオンチャネル機構の基礎的検討により脳血流改善作用に関連する知見を得た。43種のβーカルボリン化合物の薬効評価を行いCCKに対して特異的に拮抗する薬物が見出され、CCKの中枢作用に対して阻害作用を示すものがあった。この他アセチルコリン増強作用、Ca拮抗作用を持つものが見出された。
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