研究課題/領域番号 |
01870093
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三川 潮 東京大学, 薬学部, 教授 (60012613)
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研究分担者 |
佐藤 俊次 (株)ツムラ, 生物化学研究所・生物化学研究部, 課長
野口 博司 東京大学, 薬学部, 助手 (60126141)
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キーワード | ヘアリ-ル-ト / 毛状根 / カンゾウ / グリチルリチン / アグロバクテリウム |
研究概要 |
中国産ウラルカンゾウ種子を無菌的に発芽させ、アグロバクテリウムリゾゲネスATCC15834を茎の傷をつけた部分に接種。2〜3週間後にヘアリ-ル-ト(毛状根)が発生した。毛状根培養の常法にしたがい、抗生物質含有培地で培養しアグロバクテリウムを滅菌後、通常の培地で数回培養する。カンゾウ毛状根培養が固型培地になじんだ所で、液体培地に移し、やはり数回継代培養をくり返す。得られた培養系は、薄黄色に着色したやや太い細根で、分岐点にカルス状の組識を生じ、振とうによりカルス状細胞が培地中に浮遊し、培地が濁って来る傾向がある。このようにして得られた数系統のカンゾウ毛状根について成分の検討を行なった。逆層高速液体クロマトグラフィ-による分析、分取により2種のフラボノイドとグリチルリチンの生産が確認された。化合物の同定は、核磁気共鳴吸収スペクトルおよび質量分析により行なった。グリチルリチンはFAB質量分析により分子イオンピ-クを検出した。グリチルリチン生産量は、最高の生産を与える系統の場合、乾燥重量当り4.7%であった。これをリットル培地あたりに換算すると、1リットル当りのグリチルリチンの生産量は3gとなり、植物成分の収量としては非常に良い方に属する。大量培養については、分液型エア攪拌式フラスコ、シリンダ-型回転フラスコ等による培養方式を検討した。いずれの場合も、小スケ-ル培養に比べ収量が劣り、攪拌が重要な要素であることが分かった。また、先にのべた、カルス状組織の形成は、ホルモンの添加、系統の選抜によりある程度おさえられることも分かり、大量培養への道が開かれた。
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