研究課題/領域番号 |
01870094
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
板井 昭子 東京大学, 薬学部, 助手 (60012647)
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研究分担者 |
首藤 紘一 東京大学, 薬学部, 教授 (50012612)
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キーワード | コンピュ-タ / 受容体-薬物相互作用 / 分子設計 / コンピュ-タ・ソフトウェア / 構造活性相関 / ドッキング・スタディ / 分子重ね合わせ |
研究概要 |
当研究者はコンピュ-タを用いた論理的な構造活性相関と分子設計の新しい方法論とソフトウェアの開発を行ってきた。受容体の立体構造が未知の場合には物理的化学的性質による分子重ね合わせが、また受容体の構造が既知の場合には合理的なドッキング・スタディが分子の活性を説明し、新規活性構造の設計に有効と考えられる。本研究ではこれらのプログラムの機能の充実と改良を行ってきた。ドッキング・スタディのシステムGREENにおいては、三次元格子点を利用した近似的しかし高速な分子間相互作用エネルギ-の見積が主であったが、今回分子内あるいは分子間相互作用エネルギ-を原子対タイプで精度よく行えるようにした。また、新しい概念に基づく分子重ね合わせのためのシステムRECEPSにおいては、これまで会話的に行われてきた重ね合わせをすべての可能性を考慮して客観的に行うために、自動化機能を付加した。官能基が多数あったり、コンフォメ-ションの自由度がある複数の分子の重ね合わせ方は無数にある。そこで可能なコンフォメ-ションを自動的に発生させ、その一つずつについて分子間での官能基の対応の組を自動的に作り出した後、受容体に予想される水素結合原子の位置を一致させる最小自乗法によって2つの分子を重ね合わせることを可能にした。この新機能を用いて、テレオシジンとTPA分子では約27万通り、テレオシジンとアプリシアトキシンでは42万通りの組合せについて、様々な物理的化学的性質によって定量的に順位づけし、先入観なしに合理的な重ね合わせモデルが得られた。その他ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤と基質の重ね合わせモデルが得られた。その他ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤と基質の重ね合わせや、フォスレフォジエステラ-ゼ阻害剤15化合物の構造活性相関に有効であった。この自動化機能は、一般的に、化学構造が著しく異なる活性化合物の重ね合わせに、定量性と再現性を与え、可能性の網羅を実現するとともに、画期的に省力化するものである。
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