研究課題/領域番号 |
01870095
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤多 哲朗 京都大学, 薬学部, 教授 (40027024)
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研究分担者 |
奥本 武城 吉富製薬株式会社, 東京研究所, 室長
生本 武 台糖株式会社研究所, 副主任研究員
飯田 彰 京都大学, 薬学部, 助手 (40202816)
井上 謙一郎 京都大学, 薬学部, 助手 (40025713)
上田 伸一 京都大学, 薬学部, 助教授 (20025688)
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キーワード | 免疫抑制 / 冬虫夏草 / イサリア属菌 / アミノ酸 / マイリオシン / 構造活性相関 |
研究概要 |
Cordyceps属菌(冬虫夏草菌)及びその不完全菌であるIsaria属菌の各6種ずつにつき種々培養条件を検討すると共に、各々の抽出物につき免疫抑制活性を調べた。これらのうち、I.sinclairiiの抽出物に強い同活性が認められたので、同抽出物につき本科学研究費で購入した分取高速液体クロマトグラフを用いて免疫抑制成分を精査した。その結果、同活性成分としてISPーIを単離することに成功し、各種スペクトルデ-タよりその構造が(2S、3S、4R)ー(E)ー2ーaminoー3、4ーdihydroxyー2ーhydroxyーmethyl-14-oxoeicos-6-enoic acidであることがわかった。本物質はmyriococcum albomycesあるいはmycelia steriliaより単離された抗菌活性物質myriocinと同定された。さらに、ISPーIの13種の誘導体を調製し、構造ー活性相関を検討したところ2位のアミノ基、6位の二重結合及び8位から20位に至る13個の炭素鎖は活性発現に必要であり、一方、14位のカルボニル基は活性発現には必ずしも必要ではないが、カルボニル誘導体はもはや活性を示さないことがわかった。これらの研究の過程で、14位のカルボニル基がメチレン基に還元された誘導体(ISPーIー13)がISPーI自身よりも1桁高い免疫抑制活性をもつことが明かになった。免疫抑制活性の測定には通常マウス同種リンパ球混合培養反応を用いた。その他、抗羊赤血球抗体産生への抑制効果(体液性免疫に対する抑制効果を反映する)、細胞傷害活性への抑制効果(細胞性免疫に対する抑制効果を反映する)も測定したが、いずれの抑制効果においてもISPーIとISPーIー13はcyclosporin Aと同等かあるいは100倍強い活性を示し、かつ毒性は低いことがわかった。さらに、ISPーIの免疫抑制機構はcyclosporin Aの場合とは異なるという試験的な結果を得ている。従って、ISPーIとその還元体(ISPーIー13)は医薬品として非常に有望であると考えられる。
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