研究課題/領域番号 |
01870096
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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研究分担者 |
辻井 薫 花王株式会社, 和歌山研究所, センター長
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (20169436)
吉井 清哲 北海道大学, 薬学部, 助手 (30125364)
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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キーワード | 脂質膜 / ニオイ / センサ- / 膜電位 / リポソ-ム / 膜流動性 / コンカナバリンA / 嗅覚 |
研究概要 |
生体における嗅覚受容機構をモデルとして、各種ニオイに対する人工膜センサ-を開発するための基礎的研究を行った。人工膜のニオイに対する感度を上げるための条件を種々検討した。この結果、フォスファチジルコリンにフォスファチジルセリンを10〜20%添加すると、アミルアセテ-トに対する応答感度が著しく増大することがわかった。また、脂質膜(リポソ-ム)の外液にカルシウムイオンを添加すると、ニオイに対する応答感度が増大することを見出した。このような効果は、マグネシウムイオンでは見られなかった。カルシウムイオンが、脂質膜に相分離を引き起こすことが応答増大をもたらすと推論した。 次にニオイに対する応答特異性を決定する条件を検討した。脂質組成を変えると、ニオイに対する応答特異性が大きく変化した。また蛋白質として、コンカナバリンAを脂質膜に添加した場合も、ニオイに対する応答特異性が大きく変化した。たとえば、フォスファチルコリンにフォスファチジルセリンを20%添加した膜は、アミルアセテ-トに大きな応答を示したが、シトラ-ルにはほとんど応答しなかった。コンカナバリンAを添加すると、シトラ-ルに大きな応答を示したが、アミルアセテ-トに対する応答は著しく減少した。また、蛋白質を添加しない膜は第1と第2アルコ-ルに同じように応答したが、コンカナバリンAを添加すると、第1と第2アルコ-ルを識別するようになった。 脂質膜に各種の蛍光色素を埋め込み、各種のニオイを与えたときに膜のどの部位で流動性変化が起こるかを調べた。単純な組成を有する膜では、各種のニオイを与えても同じような部位で膜流動性変化が起こったが、蛋白質を含む複雑な組成を有する膜では、膜中に様々な異なるドメインが形成され、各ニオイ物質に特有な部位で膜流動性変化が起こった。
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