研究分担者 |
村山 俊彦 北海道大学, 薬学部, 助手 (90174317)
徳光 幸子 北海道大学, 薬学部, 助教授 (60001046)
富森 毅 北陸大学, 薬学部, 教授 (30100506)
菊池 徹 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40025680)
上田 亨 北海道大学, 薬学部, 教授 (00001032)
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研究概要 |
代表的二次メッセンジャ-であるcyclic AMPの脳機能への関与、とくに記憶への関与を明らかにし、それに影響する生薬成分を発見する目的で、今年度は以下の検討を行い新知見を得た。アデニル酸シクラ-ゼ(AC)活性調節系への生薬抽出エキスの作用をNG108-15細胞を用いて検討したところ、1mg/ml桂皮、竹節人参が基礎ならびに100μM forskolin賦活両活性を抑制した。また、1mg/ml黄〓、知母、蜜蒙花はforskolin賦活活性抑制効果を示した。これらの効果のあった5種の生薬のうち黄〓について、その主成分であるフラボノイドを単離精製し、構造類似のフラボノイドもあわせてその効果を検討したところ、被験27種のフラボノイドのうち10種がAC活性を抑性し、そのうちで5,6,7位に置換基を有するものが7種存在した。100μMにおいては、eupafolinが最も活性が強く、eupafolin のB環のOH基がないoroxylin Aも強い抑制活性を示したが、oroxylin Aの2,3位間二重結合が還元されたdihydrooroxylin Aには活性が認められなかった。また、5,6,7位のいずれかに糖を有するものは一例を除いて活性がなかった。Eupafolinを用いてさらにフラボノイドの作用機序について検討をおこなった。Eupafolinは10μM forskolinにより活性化されるACを濃度依存的に抑制し、そのEC_<50>値は約1μMであった。百日咳毒素100ng/mlを4時間処置した細胞ではEC_<50>値は約10μMに上昇した。Eupafolin(100μM)によるAC抑制は、100μM yohimbine前処置により抑制された。またeupafolinはラットシナプス膜へのforskolin結合には影響を及ぼさなかった。以上の結果より、(1)桂皮、竹節人参、黄〓、知母、蜜蒙花はAC活性を抑性すること、(2)そのうち黄〓の活性成分はフラボノイドであり、構造活性相関より5,6,7位に不対電子対ならびに2,3位間の二重結合が活性に関与すること、(3)eupafolinに代表されるこれらのフラボノイドは、α_2受容体を活性化することが示唆された。
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