研究課題/領域番号 |
01870099
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大森 晋爾 岡山大学, 薬学部, 教授 (10032872)
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研究分担者 |
坂上 享宏 千寿製薬(株), 研究所, 所員
緒方 一美 千寿製薬(株), 研究所, 部長
坪井 誠二 岡山大学, 薬学部, 助手 (50172052)
池田 己喜子 岡山大学, 薬学部, 講師 (20112154)
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キーワード | グルタチオン / リンゴ酸 / 血小板凝集 / DNA合成 / 肝細胞 / グルタチオンーSー転移酵素 / カルシウムイオン / EGF |
研究概要 |
1.Sー(1,2ーdicarboxyethyl)glutathione(以下DCEーGS)の生合成酵素精製:ラット肝よりグルタチオンとLーリンゴ酸を基質にしてDCEーGSを合成する新しいグルタチオンSー転移酵素を精製した。分子量は53KDでモノマ-であった。(J.Biochem.)2.DCEーGSによる血小板凝集阻止作用について:DCEーGSは1分子に4つのカルボキシル基を有し、一見してCa^<++>錯体を形成すると思えた。そこで採血の時これを加えた。予想通り強く凝固を阻止した。次にDCEーGSのCa^<++>結合力を調べた。予想に反して結合力はなかった。そこでこの抗凝固作用は血小板に対するものと考え追究した。その結果ADPやスロンビンによる凝集反応をDCEーGSが阻止した。またコラ-ゲンによって起る第2次凝集を阻止しアラキドン酸による凝集を最も強く阻止した。しかしフォルボ-ルエステルによる凝集は阻止しなかった。(Arch.Biochem.Biophys.)引き続きこれらの凝固阻止反応機構を分子レベルで解明した。その結果(1)DCEーGSは1、3mMでATP及びセロトニンの放出を各々78、73%抑制した。(2)血小板膜よりアラキドン酸の遊離及びトロンボキサンA_2の生成を1、5mMで各々61、79%抑制した。(3)2、0mMで血小板内cAMP濃度及びアデニレ-トシクラ-ゼ活性を各々202、211%上昇させた。(4)DCDーGS0.5及び1、0mMでシクロオキシゲナ-ゼ活性を各々34、48%抑制した。(Biochem、Biophys、Acta)3.ラット肝一次培養細胞におけるEGFによるDNA合成をDCEーGSが促進する:ラットの肝細胞を一次培養する時EGFを加えるとチミジンの取り込みは6、78倍となった。この上にDCEーGSを加えると10、17倍となった。しかし、DCEーGS単独ではその作用がなかった。また、DCEーGSに似た化合物にはその作用がなかった。(Res、Exp、Med、)4.ラットをアセトアミノフエンで急性肝障害を起させ、これにDCEーGSを投与すると、肝障害は防げることがわかった。(特許)
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