研究分担者 |
阪上 享宏 千寿製薬(株), 研究所, 所員
緒方 一美 千寿製薬(株), 研究所, 部長
坪井 誠二 岡山大学, 薬学部, 助手 (50172052)
池田 己喜子 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20112154)
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研究概要 |
1.ユリ科でのSー(2ーcarboxypropyl)glutathione。このペプチドをDNP化して定量した。タマネギ、ニンニクに多量に含有されていることがわかった。(J.Agri.Food Chem.,37,611,1989) 2.Sー(1,2ーDicarboxyethyl)glutathione(以下DCEーGSとする)による血小板凝集阻止。動物の肝、心、水晶体中に発見されたこのペプチドがADPやトロンビンによって若起される血小板凝集を強く阻止した。これは主として二次凝集を阻止するものであった。(Arch.Biochem.Biophys.,279,146ー150,1990に記載) 3.ラット肝よりDCEーGS合成酵素の精製。ラット肝細胞質よりこの酵素を1600倍に精製した。分子量は53KDaでモノマ-であり、GSHとLーリンゴ酸に対するKm値は2.3,4.0mMであった.今迄知られていたグルタチオンSトランスフェラ-ゼに比べ反応機構基質が違う、新しいカテゴリ-のものであった。(J.Biochem.,107,539ー545,1990に掲載) 4.ラット肝細胞初代培養でのDNA合成を促進するEGF作用をDCEーGSが1.5倍に増強する。DCEーGSだけではDNA合成は促進しない。EGFと共に加えるとEGFの作用を1.5倍増強。DCEーGSの誘導体にもその作用はなかった。(Res.Exp.Med.,190,381ー387,1990に掲載) 5.ラットの再生肝中のDCEーGS含量の増加。肝が2/3除去されると6日目に再生される。この期間中DCEーGS含量は数倍上昇するがDCEーGS合成酵素活性は上昇しなかった。(Res.Exp.Med.,1992に掲載予定) 6.コラ-ゲンによって若起する血小板凝集のDCEーGSによる阻止作用。コラ-ゲンによって若起するATPやセロトニン放出をDCEーGSは強く阻止した。またその際のトロンボキサンB_2の生成も強く阻止した。DCEーGSは血小板のサイクリックAMPレベルやアデニルサイクラ-ゼ活性を上昇させた。(投稿予定)以上DCEーGSは立派な医薬品となり得ることがわかった。
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