研究課題/領域番号 |
01870106
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究分担者 |
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助手 (70223237)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 細胞骨格蛋白質 / 生化学的解析 / 超微細形態学的解析 / シナプシンI / カルパクチンI / アクチン / エクソサイト-シス |
研究概要 |
神経伝達物質放出およびホルモン分泌という細胞機能における細胞骨格関連蛋白質の役割を新たな手法で解析するため以下の検討を行った。 神経終末においてシナプシンIは、神経の脱分極に伴って燐酸化され、アクチン・チュ-ブリンに結合する蛋白質である。急速凍結ディ-プエッチ法と免疫電顕により、シナプシンIはシナプス小胞とアクチン線維またはシナプス小胞と微小管を結ぶ架橋構造として観察された。すなわち、シナプシンIはシナプス前部のシナプス小胞上に存在し、非興奮時にはアクチン線維との架橋によりシナプス小胞をアクチン線維に保持する役割を果たしている。神経の脱分極によりシナプス前部にCa^<2+>が流入すると、キナ-ゼIIの活性化によるシナプシンIの燐酸化がアクチンとの架橋を阻害し、シナプス小胞はアクチン線維から遊離され、シナプス前膜に結合し神経伝達物質の放出が起こると考えられる。 副腎髄質細胞の検討では、カルパクチンIは急速凍結ディ-プエッチ法と免疫電顕により細胞膜と細胞膜に近接するクロマフィン顆粒に球状構造として存在し、分泌刺激時には、両者のヒモ状の架橋構造として存在することが観察された。すなわち、カルパクチンIは、Ca^<2+>・燐脂質依存性に構造変化を起こしクロマフィン顆粒と細胞膜を架橋すると考えられ、エクトサイト-シスの際の細胞膜・分泌小胞の結合・融合に必須である可能性が示された。 このように、生化学的手法と超微細形態学的手法を併用することにより、神経伝達物質放出やホルモン分泌と言った重要な細胞機能において、微量にしか存在しない細胞骨格関連蛋白質による制御機構を解析することが可能となった。
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