研究概要 |
平成2年度は,平成元年度に製作した高周波超音波プロ-ブと発振回路により得られた皮膚および粘膜の超音波断層像を,三次元走査用装置により断層面と垂直に移動させ,得られた多数枚の断層像を重ね合わせ,立体表示像の作成を試みた。 すなわち,皮膚の良性,悪性腫瘍のうち,小型で表在性のものについて,30MHz超音波プロ-ブを用いて垂直断層像を求め,この断層面と垂直に,10mm/秒の速度で走査した0.1〜1.0mm間隔の30枚の連続した断層像をフロッピ-ディスクに記録した。一枚の超音波断層像のアナログ信号を512x512画素にA/D変換したのち,病変部を中心に256x256画素分を切り出し,それを各断層像のスライス幅に応じたステップ幅で,コンピュ-タ内のメモリ-上に三次元デ-タとして積み上げた。 立体表示としては,視点の方向に関連させて超音波像の輝度を徐々に変化させる表面法と,病変部の断層像のみを抽出したのち,輝度を加え合わせる再投影法を行ってみたが,全体構造とくに表皮と病変部との位置関係を明らかにするため,この二法を重ね合わせて一枚の画像とする方法を検討中である。 今後の問題点としては,奥行き情報の色相表示のため,各画素ごとのデ-タと濃度デ-タを色相と明度に変換して表示する点と,現在の30MHz超音波プロ-ブの水平分解能が,まだ期待どおりの0.12mmに達していない点であり,これらを平成3年度に改良させて,分解能と立体表示の改良をはかりたい。
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