研究課題/領域番号 |
01880015
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研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
千川 純一 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 教授 (20175459)
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研究分担者 |
佐藤 史郎 日本放送協会, 放送技術研究所, 研究員
平井 忠明 日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
設楽 圭一 日本放送協会, 放送技術研究所, 主任研究員
河村 達郎 日本放送協会, 放送技術研究所, 部長
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キーワード | 非晶質セレン光導電膜 / X線テレビ撮像管 / アバランシェ増倍作用 |
研究概要 |
X線顕微鏡、X線トポグラフ像のリアルタイム観察には、高分解能、高感度X線テレビが不可欠である。本試験研究では非晶質セレン光導電膜に高電圧を印加したアバランシェ増倍型撮像管を開発し、分解能6μmで、しかも個々のX線フォトンが検出できる超高感度X線テレビをはじめて実現することができた。 これまで高分解能X線テレビ撮像管として用いられてきたサチコン管では1フレ-ム(1/30秒)の1絵素あたり約10ケのX線フォトン(エネルギ-10keV)が入射したとき、その出力信号は増幅器のノイズレベルとほぼ同等であり、個々のフォトンは観察できなかった。これに対し、今回開発したものではアバランシェ増倍作用により、出力信号電流が100倍にもなり1個のフォトンが検出できるだけでなく、光導電膜入射側表面でフォトンが吸収されると、そのエネルギ-(hν)に比例した信号が得られることがわかった。したがって、今後、フォトン吸収層とアバランシェ増倍層を分離した光導電膜を構成すれば、エネルギ-分離、高分解能二次元検出器を実現できるもので期待される。 今回開発した撮像管の高感度性能を実証するため、非晶質Si薄膜(膜厚300nm)のエピタキシャル成長過程のX線トポグラフィ実時間観察を試みた。その結果、通常の回転対陰極型X線発生装置からのX線ビ-ム強度(50KV、300mA)でも薄膜からの微弱な回折X線を感度良く検出できることがわかった。 また、この感度からすればシンクロトロン放射の時間幅100ピコ秒のパルスX線で、1枚の二次元像を撮像できることになり、時間分解X線撮像も可能となる。
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