研究課題/領域番号 |
01880026
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三宅 千枝 大阪大学, 工学部, 助教授 (70028976)
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研究分担者 |
本田 裕 三菱原子燃料(株), 開発試験センター, 所長
志賀 正幸 京都大学, 工学部, 教授 (30026025)
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キーワード | ジルカロイ被覆管 / ジルカロイー2 / ジルカロイー4 / ノジュラ-腐食 / 超常磁性状態 / 磁化曲線 / βー処理 / 微量添加元素 |
研究概要 |
ジルカロイ被覆管のノジュラ-腐食についての知見を得る目的で、新しく磁気的方法により熱処理後のジルカロイの状態に関する研究を行った。磁化率と磁化の測定は液体N_2温度から室温まで磁場の強さ0.1〜1テスラで行った。ジルカロイー2受入れ材の磁化率は純ジルコニウムと同様温度依存性のない常磁性であるが、ジルカロイー4受入れ材は恰も常磁性物質の如く温度の低下と共に増大する磁化率を示す。900℃以上の熱処理を行うとジルカロイー2とー4のこの挙動の相異は熱処理前よりも大きくなる。この現象の原因としては、両種のジルカロイへの微量添加元素に関連のあるものと考えられる。従来の金属組織学的観察によればジルカロイー2およびー4における析出物はそれぞれZr_2(Fe_<1-x>Ni_x)および、Zr(Fe_<1-x>Cr)_2であると報告されている。後者は強磁性であり、前者は非磁性である。そこでジルカロイー4の磁化曲線の解析から、ジルカロイー4が超常磁性状態にあることを見出した。また900℃以上の熱処理後の磁化の増加は、強磁性微粒子析出物の量の増加を意味することが明らかとなった。 金属組織学的手法によれば、900℃以上の相はFe、Cr、Ni等の微量添加元素の過飽和固溶体であると報告されているが、本磁気的研究によれば実はジルカロイー4のβ相は超常磁性状態にあって、従来法では検出可能なZr(Fe_<1-x>Cr_x)_2の微細粒子(φ【approximately equal】10〜20Å)が非磁性のジルコニウム中に均一に分布している状態にある。ジルカロイー2のβ相は析出微粒子が非磁性のため超常磁性状態にあると称することはできない。 なお、ジルコニウムのβ相、β相+α相、β相+α相+Zr(Fe、Cr)_2、α相+Zr(Fe、Cr)_2の温度領域からの各種降温試料につき磁化曲線の解析から、析出物種別、粒径、分布状態等に関する情報を得た。
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