研究概要 |
当研究室では,ポリオキシフエニル基を多数もっているタンニン系化合物がウラン,トリウムなどの核燃料物質に対して極めて強い親和性を示すことを見出し,これらの基礎的知見にもとずいてタンニン系化合物を基材とする新規のウラン吸着剤を開発した。なかでも柿渋タンニン系吸着剤(固定化柿渋)は極めて優れたウラン吸着能を示し,1gの吸着剤当りに1.7gのウランを吸着することができる。 平成元年度より動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所の協力を得て,ウラン含有廃水からのウラン回収現地テストを行い,該固定化柿渋吸着剤は廃水中のppb〜ppmレベルの微量ウランを効率よく回収除去できることが明らかになった。本年度は,昨年度からの研究に引きつづき,実用化の基礎条件を解析するため,2,3の実験を行った。まず,固定化柿渋吸着剤と含ウラン廃水との固液接触を容易にするため,ベッド多段処理方式ウラン回収装置を試作し,ウラン回収実験を行った。その結果,本方式によるウランの回収は,定量的,且つ吸脱着操作を繰り返し行うことができ,本方式によるウランの回収は極めて効率的であることがわかった。該吸着剤(固定化柿渋)は性状が軟質ゲルであるのでカラム法吸着を繰り返し行うと粒径が少くなる。そこで,軟質ゲル固液接触処理方式によりウランの回収を試みた。その結果,1時間の攪拌(50rpm),0.3ml/minの通気条件で10ppmレベルのウランを効率よく回収除去できることが明らかになった。一方,含ウラン廃水からのウラン吸着に関与する共存イオンの影響についても総合的解析を行った。
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