研究課題/領域番号 |
01890009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡山 博人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40111950)
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研究分担者 |
小野 泰子 大阪大学, 微生物病研究所, 文部技官 (70194602)
永田 昭久 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (50155933)
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30156195)
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キーワード | cDNA / 発現クロ-ニング / Schizosaccharomyces pombe / 異種生物間遺伝子相補 / 細胞周期 / cdc25 / cdc2 / wee1 |
研究概要 |
すでに完成した分裂酵母を宿主とする遺伝子相補cDNAクロ-ニング法を活用して、ヒト細胞のG2期細胞周期制御遺伝子の単離を進めた。分裂酵母では、cdc2蛋白キナ-ゼの活性化によって細胞の分裂が開始する。cdc2蛋白キナ-ゼはwee1と呼ばれるチロジンキナ-ゼによってリン酸化を受けることによって活性が抑制され、cdc25と呼ばれる脱リン酸化酵素によって活性化される。DNA複製完了のシグナルと細胞小器官の生合成の進行状況によって、この二つの制御機構が調節されている。我々は昨年度単離した二種のcdc25遺伝子ヒトホモロ-グとwee1ヒトホモロ-グ以外に、wee1遺伝子の変異株を強力に相補する新しいヒトcDNAの単離に成功した。このcDNAは、これまでに知られている蛋白とは類似性を持たない塩基性蛋白質をコ-ドする。wee1変異株の相補形質から、wee1及びcdc25とは独立してcdc2蛋白キナ-ゼの活性を抑制する制御因子であることが示唆された。最近、出芽酵母では、wee1、cdc25以外の制御機構で細胞分裂の開始が制御されていることが示唆されている。今回単離したヒト遺伝子は、この制御機構の一因子である可能性が浮かび上がった。 一方、昨年度単離したcdc25及びwee1のヒトホモロ-グは、塩基配列を決定し、分裂酵母及び動物細胞での機構を調べた結果、これらのホモロ-グが、分裂酵母の制御遺伝子に対応する遺伝子であることが判明し動物細胞の細胞分裂の制御機構を解明するための大きな手掛かりになると期待される。
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