研究分担者 |
大川 洋子 福井県立短期大学, 第二看護学科, 助手 (20194087)
松本 武次 アトム株式会社, 営業企画課, 課長
山口 公則 アトム株式会社, マーケッティング部, 次長
藤田 宗男 アトム株式会社, マーケッティング部, 部長
加藤 力 京都工芸繊維大学, 造形工学科, 助教授 (40111992)
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研究概要 |
1.産後の褥婦に不可欠な座面形状のデザインを抽出するため,実験材料を作成し官能試験を実施.その結果,座面のくりぬきが必要なこと,視覚的にも安楽な感じを与える形状とデザインを指向していた. 2.スタディモデルいすによる生体負担に対する実験結果から,授乳用いすの第1次案の機能条件を基にデザインを含めた基本設計図を作成.いすの機能条件は,座面高300mm,座面角度0度,背板角度0度とした.デザインは温かいイメ-ジを強調し背もたれはハ-ト形,座面は楕円形とし,色調はピンク系のパステルカラ-を用いた.倚座にて会陰部の圧迫痛を防ぐための座面くりぬき部も考慮した試作いすを製作. 3.試作いすと既製の産褥いすにおける比較を,表面筋電図法を用い実際の母親とその新生児で実験し検証.一連の授乳行為において試作いすは産褥いすに比べ約半分の筋活動量であった.6つの主要筋群に突出した筋活動はなく,レ-ダ-チャ-ト上はほぼ円の図形パタ-ンを示した.つまり筋負担の片寄りが少なく楽に授乳できていることが分かり,試作いすの機能条件は授乳いすとして至適寸法であることがほぼ実証できた.また介助いすを設計・製作し,生体負担を評価.介助いすは中腰の介助姿勢と比べ筋活動量が少なく,看護用具として必要であること.機能条件は座面角度8度・座面高400mmが至適寸法と分かった.これらから看護における提案を概括した. 4.製作した試作いすの機能条件から,(1)座面高が低いことによる立ち座わり時の不安感や苦痛感,(2)座面のくりぬき部の問題,(3)足掛けバ-の問題,(4)体格差,などを抽出.これは,調節機構を具備した自在性のある設計とデザインが必要である.介助いすは,授乳いすの機能条件と相互の関係,さらに介助者の体格差などにおける授乳環境の検討は今後の課題である. 5.人間工学的な立場から早期産褥婦の授乳用いすの機能条件を明らかにした.本研究は実用化に向けるための基礎資料になるものと考える.
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