新しい病態代謝診断法のための超高感度NMR測定臨床装置の開発

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01890014
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 国立精神・神経センター
• 研究代表者: 荻野 孝史 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50185526)
• 研究分担者: 楠本 嵩男 日本フィリップス(株)医療機器開発部, 研究員 ; 高橋 清久 国立精神, 神経センター・神経研究所, 部長 (30073076) ; 杉田 秀夫 国立精神, 神経センター・神経研究所, 所長 (80009951) ; 矢野 登志雄 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員
• キーワード: NMR / 無侵襲 / 非破壊 / 高感度 / 局在化 / 病態代謝 / 2テスラ / ヒト全身用MR装置

研究概要

本試験研究の目的は、ヒトを対象に無侵襲・非破壊的に各種代謝物質の化学分析を行うことを可能にし、得られる生化学情報に基づき代謝病態の診断や成因の研究及び生体機能の研究を可能とする超高感度ヒト全身用MR装置を開発することである。このような観点から現在我が国で臨床応用可能な最高静磁場強度である2.0テスラ高磁場ヒト全身用MR装置及び周辺計測技術の開発を行ってきた。
本年度は、昨年度において開発した、我国で初めてMRI/MRSの統合的測定を可能とした2テスラ高磁場ヒト全身用MR装置の感度・分解能・局在化・定量化等の向上を、更に進展させるためにハ-ドウェア及びソフトウェアの改良・開発を行った。具体的には、第一にMRIにおける大領域のRF磁場均一性、MRSにおける局所代謝物の高感度検出というMRI/MRS各々に固有な要求を満たす2テスラ ^1Hコイル・プロ-ブの完成を目標とし、昨年度製作した頭部用 ^1HNMR信号検出コイル・プロ-ブを上回るRF磁場均一性・感度を持つ2テスラ ^1Hコイル・プロ-ブを設計・製作した。第二に、 ^<31>PMRSについても、測定領域の縮小、もしくは測定時間の短縮を目標とし、昨年度製作した頭部用 ^<31>PNMR信号検出コイル・プロ-ブを上回る感度を持つ2テスラ ^<31>Pコイル・プロ-ブを設計・製作した。第三に、脊髄を対象とする高感度MRI測定を目標とする2テスラ ^1Hコイル・プロ-ブの設計・製作を行なった。第四、 ^1HMRS局在化パルス系列の選択的シグナル局在化技術を計算機シミュレ-ションにより、更に発展させ、より良いslice profileを持つ選択的焦点パルスを開発した。第五に、計算機シミュレ-ションにより最適化した、 ^1HMRS局在化パルス系列を用いてヒト脳の局在化 ^1HMRS測定を行い、脳内代謝物のスペクトルを高感度・高分解能で得ることに成功した。

研究成果

• [文献書誌] Behar,K.L.and Ogino,T.: "Assignment of Resonances in the ^1H Spectrum of Rat Brain by TwoーDimensional Shift Correlated and Jーresolved NMR Spectroscopy." Magnetic Resonance in Medicine. 17. 285-303 (1991)
• [文献書誌] Novotny Jr.,E.J.,Ogino,T.,Rothman,D.L.,Petroff,O.A.C.,Prichard,J.W.and Shulman,R.G.: "Direct Carbon versus Proton Heteronuclear Editing of 2ー^<13>C Ethanol in Rabbit Brain in vivo:A Sensitivity Comparison." Magnetic Resonance in Medicine. 16. 431-443 (1990)
• [文献書誌] Petroff,O.A.C.,Novotny Jr.,E.J.,Ogino,T.,Avison,M.,and Prichard,J.W.: "in vivo Measurements of Ethanol Concentration in Rabbit Brain by Hー1 Magnetic Resonance Spectroscopy." Journal of Neurochemistry. 54. 1188-1195 (1990)