2002年度には、研究計画書に述べたとおり実証的な研究が進められた。その概要は次の通りである。 1.研究資料の入手およびデータの分析作業を継続的におこなった。 研究に欠かせない部分関係資料を入手した。本研究は世界レベル、国家レベル、さらに地方や企業レベルにわたる空間の幅広い研究であるが、またマクロ的およびミクロ的な資料も欠かせないが、現在までに「週刊東洋経済」増刊「海外進出企業総攪」(会社別篇)(国別篇)等の関係資料を入手した。資料分析およびデータの処理を行い、とくに中国進出の日系企業に対しては一社ごとに詳しい分析作業を行った。その分析結果によって、日系企業の中国進出の実態を把握できると期待する。 2.関係の学術シンポジウムに参加した。 2002年度日本地理学会秋季学術大会(金沢大学)に参加し、関係専門家と討論できた。 3.海外・国内の現地調査を行った。 1)東京、岡山、金沢、福岡、長崎、大分、京都などの現地調査を行い、地域経済空洞化の実態、これに対応する地域振興の試み、および企業の海外への、特に中国進出の理由をある程度把握した。 2)中国の上海、北京、重慶、昆明などの現地調査を行い、中国地域経済の現状および外資企業、特に日系企業の実態をある程度把握した。 4.一部で研究成果のまとめを始めた。 1)以上の大量のデータ分析の上で、日本対アジア、日本対中国への直接投資の動機が変化しつつあること、およびパターンの転換を明らかにする論文「日本対外直接投資の動機および変化」を執筆し投稿中である。特にこの論文で、日系企業の中国投資動機がすでに低コスト追求型から製造主導の総合型(製造+市場)に転換することを初めて明らかにした。 2)別記リストに示すように、著書1巻、学術論文4篇を公刊した。
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