研究概要 |
細胞内小器官ペルオキシソームは近年多くの重要な代謝機能の解明やその障害は遺伝性の致死的疾患をもたらすことから、プロテイントラフィック分子機構解明のモデル系としても広く研究されている。私たちはペルオキシソームの形成機構やその障害機構の解明に向けて,多くのペルオキシソーム欠損性CHO(Chiniese Hamster Ovay)細胞変異株を分離し,相補遺伝子(PEX)の単離とその転写・翻訳産物(ペルオキシン)の機能ならびにZellweger症侯群を代表とするペルオキシソーム形成異常症の原因遺伝子解明を目的として研究を行っている。そのなかでペルオキシンPex3p,Pex16p,Pex19pはペルオキシソーム膜のアセンブリーに必須であり、それらの機能不全はペルオキシソーム欠損症を引き起こすことを先に発表している。ガエディ博士はペルオキシソーム膜形成機構の解明へ向け、pex3 CHO変異細胞およびPex3pを用いて膜タンパク質Pex3pの局在化シグナルを同定した(投稿準備中)。一方、先に分離、報告している2型局在化シグナル(PTS2)レセプター遺伝子PEX7の異常CHO変異細胞を用いて、Pex7pの機能とその変異を生化学的に検討した結果、変異Pex7pはPTS2およびPTS2タンパク質-Pex7p複合体の輸送を担うPTS1レセプターPex5pのアイソフォームであるPex5pLとの結合能を失っていることを明らかにした。またより蛍光高度の強いEnhanced GFP(EGFP)を用いて、新規なCHOpex変異細胞の分離も試み、新たな表現型を示すpex2変異細胞ZPEG309を単離した。
|