研究概要 |
クラウンエーテル/二級アンモニウム塩からなるロタキサンの系を利用したポリロタキサンの系について検討した.今年度は,シクロヘキシル基とジベンゾ-24-クラウン-8-エーテルのサイズ相補性を利用した熱的押し込み法によるポリスリッピングを試みた. 4-カルボキシ-ジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル(1)とシクロヘキシルメチルアミンよりアミド(2)を得た.2の水素化リチウムアルミニウム還元により対応するアミンを得,これをヘキサフルオロリン酸と塩形成させることにより,一方の末端に24-クラウン-8-エーテルユニットを持ち,もう一方の末端にシクロヘキシル基を持つ2級アンモニウム塩(3)を得た.3をクロロホルムに溶解させ,40℃で静置し,^1H-NMRにより重合の進行を追跡した結果,30日後にはポリ[2]ロタキサン(4)の生成が示唆された.種々の条件検討の結果から,この重合挙動はモノマーの仕込み濃度や,温度,溶媒等によりある程度コントロールできることが分かった.また,4を高極性溶媒中に浸すと速やかにデスリッピング(解重合)が起こり,定量的にモノマー(3)を与えることが分かった. 以上のように,本手法はポリ[2]ロタキサンの新しい合成手法として有効であり,また,得られたポリ[2]ロタキサンは優れたりサイクル特性を持ち合わせていることが示された. 【chemical formula】
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