研究課題/領域番号 |
01F00704
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅田 正明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授
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研究分担者 |
BISOVA Katerina 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 植物 / シロイヌナズナ / 細胞分裂 / 細胞周期 / シグナル伝達 / サイクリン依存性キナーゼ / リン酸化 / レスポンスレギュレーター |
研究概要 |
植物は極めて柔軟な細胞分裂と分化の制御機構を有している。しかし、それを上流で制御するシグナル伝達については殆ど明らかにされていない。そこで、本研究では主にリン酸化によるCDKの活性制御に焦点を絞って、外的・内的シグナルに応答した細胞増殖の実現機構について解析を行ない、分裂組織における細胞分裂と分化の決定機構を分子レベルで明らかにすることを目的とする。 今年度は、まずシロイヌナズナのレスポンスレギュレーター遺伝子(野生型および変異体)を過剰発現する形質転換体を作成するとともに、T-DNAタグラインの中からノックアウト変異体の単離を行なった。また、細胞分裂の負の制御因子として単離したWee1 kinaseについても生化学的な解析を行なった。大腸菌で発現させた組換え体のWee1タンパク質はin vitroでCDKをリン酸化するとともに、CDK活性化キナーゼ(CAK)もリン酸化する活性を有することが明らかになった。シロイヌナズナの4種類のCAKについて解析した結果、CAK1とCAK4に対するリン酸化が観察され、CDKやCAKのもつキナーゼ活性はWee1により負に制御されることが示された。また、培養細胞を用いて経時的な発現解析を行なった結果、mRNAは対数増殖期で増加したものの、タンパク質は一定のレベルを保つことが明らかになった。この結果は、Wee1の分子機能にタンパク質レベルの制御が関与していることを示唆している。一方、CAK1のタンパク質機能を解析する目的で、中央部分の112アミノ酸を欠いた欠失変異体を用いて活性を調べた結果、この領域は活性発現に必須であることが明らかになった。以上のように、植物にはWee1やCAKによる複雑なCDKの活性制御機構が存在することが示された。
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