本研究では沖縄に生息しているサンゴを材料として、サンゴの分散能力を決定する幼生の脂質エネルギー代謝の研究をおこなった。この研究計画では、サンゴの卵採取と幼生捕獲が必須であった。サンゴの産卵時期は沖縄近海では6月から8月に例年観察されている。昨年はエルニーニョによる海水温度上昇や、オニヒトデの大量発生によるサンゴの死滅が影響し、期待していたサンゴの一斉放卵が見られなかった。このため、当初予定していた計画を大幅に縮小する必要が生じたが、研究自体は概ね満足のいく成果が得られたと思われる。 具体的な研究成果は以下の通りである。 1)サンゴ幼生を用いた人工共生藻感染系の確立 2)幼生の高温ストレス耐性能 3)生長段階における脂肪酸組成の変化と種間差 4)サンゴにおけるグリオキシル酸代謝経路の発見 5)サンゴ卵の色素解析 実験調査終了直後のため、未だ実験継続中あるいはデータ解析中のものが多いが、上記内容は国際論文誌に投稿するために現在準備中である。
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