研究課題/領域番号 |
01F00769
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
THIAMOVA Gabriela 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 反対称化分子動力学 / 炭素 / クラスター / アイソスピン / 原子核半径 / エネルギーレベル / 不安定核 / 相互作用 |
研究概要 |
軽い原子核の構造を、炭素のアイソトープを例にとって、反対称化された分子動力学の方法を発展させて解析した。反対称化された分子動力学の方法はこれまでは主に、一つの多体基底を最適化して計算する近似が取られてきたが、複数の多体基底を用いることにより、重く不安定な炭素のアイソトープにおける原子核の大きさ(半径)の増大メカニズムの解明を目指した。必要な計算機用コードも開発した。その結果、一つには、14Cに於ける励起状態にクラスター的なものがあるらしい、という事が判明した。この方法がそのような構造の解明に向いているのは多いに有り得る事である。一方、当初期待されていた中性子数ととも半径が増大する、という現象については十分な効果が得られなかった。さらに、最近実験的に判明した重い不安定な炭素原子核でのエネルギーレベルについても実験とあまりいい一致が得られていない。原因としては、反対称化された分子動力学の方法論な限界、及び、使われている核子間有効相互作用の近似の悪さが考えられる。これらは京大-KEKグループが長年用いてきた、或はそれらを含んでの改良版である。そこで、これらに問題があるとなると、上記グループの計算結果の信頼性が問題となってくる。一方では、14Cのように安定核に近い領域ではクラスター的な励起状態も良く再現できているので、一番悪い点は高いアイソスピンに移行した時の相互作用、及び、それを十分いい近似で解ける方法論の能力の問題ではないかと、推定される。 このような知見はこれまで得られていなかったものであり、当面は否定的なものであるが、今後の核構造解明にとって重要な手がかりを与えるものである。現在、論文としてまとめている。
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