研究概要 |
現在、神経の情報伝達機構において神経伝達物質の放出に関与する多くの分子が同定されており、セプチンもそのひとつと考えられている。これまでに、微小管に沿った局在を示すMLK2が複数のセプチンとin vivo免疫複合体を形成することや、MLK2依存性シグナルカスケードにより複数のセプチンを特異的にリン酸化することを見い出している。また、two-hybrid法、免疫沈降法を用いた解析によりこれらセプチン同士は複合体を形成し機能を果たしている可能性が示唆された。さらに、各種セプチンの抗体を作成しその細胞内局在を検討した。その結果、MSFファミリーに属するセプチン(MSF, MSF-A, MSF-B)を認識する抗体を用いてHMEC細胞で免疫染色を行ったところ、MSFファミリーは微小管に沿ったフィラメント様の局在を示すことがわかった。さらに、微小管重合阻害剤であるデメコルシンをHMEC細胞に処理しその局在を観察したところ、細胞内において微小管の崩壊と共にMSFファミリーのフィラメントの崩壊が見られた。以上の結果からこれらMSFファミリーに属するセプチンは微小管と直接的または間接的に結合している可能性が示唆された。今後は他のセプチンに対する抗体の作成を行い、免疫染色で同様に微小管に沿った局在を示すか検討する。またこれらセプチンと微小管との結合が直接的であるか、またはMLK2や何らかの分子を介した間接的な結合であるか検討するためにin vitroにおけるセプチンと微小管との結合実験を行う。さらに、微小管以外にアクチンフィラメントや中間径フィラメントといった細胞骨格との結合についても検討を進めていく。
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