1)NAD(P)H脱水素酵素(NDH)の精製のための材料を得るため、PAMクロロフィル蛍光測定を利用してNDH活性の高い植物のスクリーニングを行ったところ、一部のC4植物において活性が高いことが明らかとなった。そこで、そのなかでも特に活性の高く、入手および破砕の容易な植物種を材料にすることで生化学的にNDHの精製を試みている。現状では、単離した葉緑体チラコイド膜を可溶化したサンプルを、陰イオン交換カラムとゲルろ過カラムにおいて分離し、そのフラクションをNDH-Hに対する抗体とNAD(P)H:フェリシアン化カリウムの酸化還元活性測定により解析した結果、NDH-Hの存在するフラクションはNADPHとNADHの活性を持つことが明らかとなっている。今後、さらに精製を進め、最終的に未同定のサブユニットのN末端解析やペプチド解析などを行うことで、NDHの基質認識に関わるサブユニット群の同定を試みる。 また、作成したNDH-Kの抗体は特異性が高くなかったため、現在NDH-KおよびNDH-Iに対するペプチド抗体の作成を進めている。 2)葉緑体ゲノムにコードされているNDH-KサブユニットのN末端および、NDH-JサブユニットのC末端にHis-tagを付加したコンストラクトをタバコ葉緑体に導入しようと試みたが、目的の形質転換体が得られなかったため、新たにコンストラクトを作成しなおし葉緑体への導入を続けている。現在、抗生物質耐性の植物ラインを複数得ることができたため、今後は、それらの解析を進める予定である。
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