研究概要 |
ODP Leg 186にて三陸海岸沖から採取された、二本の柱状堆積物試料中の石灰質ナノプランクトン化石の微化石層序を調べ、実験に用いた堆積物試料の最下部がそれぞれ0.085Maと0.36Maより若いことを明らかにした。本結果を、Proceeding of the Ocean Drilling Program, Scientific Results Volume 186に論文発表した。 同試料中の、Emiliania huxleyiとGephyrocapsa oceanicaの化石コッコリスの形態観察を、走査型電子顕微鏡下で行うための下準備として、堆積物試料のろ過実験を行った。 堆積物試料の走査型電子顕微鏡観察に適切なろ過条件は、マトリクスである岩層や、その中でのコッコリス化石の頻度によって異なっている。そのため、本ろ過実験では、堆積物の各試料について、乾燥後に定量後に溶液中に戻したものを、それぞれ濃度条件を変えてろ過・乾燥した。本実験の結果、全186試料について、走査型電子顕微鏡でのコッコリス化石の検鏡に適した濃度のサンプルを作成することが出来た。 現在は、電子顕微鏡での検鏡観察を勧めているところであるが、予察的な結果として、E. huxleyiの頻度が爆発的に増加した0.085MaのE. huxleyi Acme Zoneの立ち上がりの前後で、E. huxleyiの表現形組成が違っているという結果が得られている。この結果は、E. huxleyi Acme Zoneの形成に、E. huxleyiの表現形の分化が貢献をしていることを示唆しているが、定量的なデータは現在収集中である。
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