藤原鎌足像をはじめ、中世肖像・神像の収集・調査を継続し、栃木県日光、京都府瑞泉寺透玄寺・京都国立博物館、和歌山市立博物館、長野県長野長命寺・浄蓮寺・上松東野阿弥陀堂などにおいて熟覧・写真撮影をおこなった。 研究テーマは、(1)小野篁の絵師伝承の考察によって、中近世多武峯の宝物をめぐる社会的機能を論じた。(2)多武峯所蔵「日輪御影」の分析を通して、14世紀日本で勝軍地蔵信仰が生成してゆく歴史的背景をさぐった。(3)中近世日本図・朝鮮図を素材として、国境の島嶼たる対馬の歴史的イメージの変容を考察した。(4)対馬豆酘の村落景観・祝祭空間の歴史的変化を論じ、畑作から水稲への文化・祝祭儀礼の変容を明らかにした。 そのほか、『日本史文献辞典』の「佐々木剛三『神道曼陀羅の図像学』」の項目を執筆した。また既発表論文を改稿し、これに数本の新稿を加えた著書出版の準備作業を進めた。
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