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2003 年度 実績報告書

地方政府の教育政策過程における首長・議員の役割についての実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01J06072
研究機関東京大学

研究代表者

村上 祐介  東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード教育長 / 地方教育行政 / 知事 / 出向人事 / 任命承認制
研究概要

今年度は,いわゆる教育長任命承認制が存在していた時期における,中央官僚の教育長への出向人事の態様を,とくに首長や議員の属性や地方政治の状況に着目しつつ調査を行った。
その結果,文部省出身の教育長は特に1970年代以降減少していたこと,また他省庁出身者を含めても地元出身の教育長が徐々に増加し,中央官僚出身の教育長は減少していたことが明らかとなった。
これは,任命承認制の存在が中央政府の地方への統制を強めたとする通説的な見解では説明しがたい事実である。また,知事と議会が対立していたり直前の知事選が激戦であった場合など,地方政府内部の政治的な状況が不安定な場合に,中央官僚の教育長への出向が多くみられることも明らかにした。
以上の研究結果から得られる示唆としては,次の3点があげられる。
第1に,教育行政が他の行政領域と比較して中央集権的で,首長・議会の統制から乖離しているとの認識は決して自明ではなく,実証的な調査研究による知見を蓄積したうえで判断することが必要である。
第2に,出向人事は中央による地方への統制の手段として有効である,という行政学の通説的な見解は再検討の余地がある。出向人事が中央統制の手段として有効であるならば,任命承認制というしくみがありながら,文部省からの教育長出向がこれほどまでに少ないのは理解しがたい。
最後に第3として,これまで教育行政学では自治省や首長・議会がほとんど研究対象とされていなかったが,本研究の結果からは地方教育行政において極めて重要なアクターであることが示唆される。本研究の知見から,今後自治省の影響力に着目した実証的研究の蓄積が求められる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 村上 祐介: "任命承認制下の教育長職における中央省庁からの出向人事"日本教育行政学会年報. 29号. 142-153 (2003)

  • [文献書誌] 村上 祐介: "地方自治体における教育政策動向"日本教育政策学会年報. 10号. 227-233 (2003)

  • [文献書誌] 村上 祐介: "校長・教頭のための最新教育改革ポイント整理"教育開発研究所. 3 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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