今年度(平成14年度)は、前年度(平成13年度)に得た撮像データに加え、新たな撮像および分光データをすばる望遠鏡で取得した。観測は平成14年5月および6月に行われ、すばるディープフィールド北領域を主に探査した。これを前年度に得られたすばるディープフィールド中心領域のデータと組み合わせることで、赤方偏移が4.9にあるライマンアルファ銀河が幅20Mpc長さ50Mpc以上の帯状構造を作っていることを発見した。前年度は、角度相関関数で測れる5Mpc程度のスケールの構造しか捉えられなかったが、今年の発見は20Mpcを越える大きな構造が遠方(高赤方偏移)にも存在することを実証でき、遠方大規模構造の存在は揺ぎ無いものになったと言える。 解析過程や初期成果は国内外の学会で発表を行った。平成14年4月のコスメル学会(コスメル・メキシコ)および平成15年1月のカーネギー学会(パサディナ・アメリカ)で口頭発表を行った。世界的に初の試みである本研究に対しては、研究者から強い関心を寄せられた。また同様に国内学会および研究会においても発表を行い、学会誌等への投稿も行った。さらにこれらの成果を基に2編の論文を書き、1編は査読論文(Astrophysical Journal)に掲載され、もう一編も査読論文(Astrophysical Journal)に掲載予定である。 平成15年3月末にはさらに分光データをすばる望遠鏡で取得する予定である。これにより個別のライマンアルファ銀河の性質(星形成率など)が明らかにすることができる。
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