研究概要 |
ヒトの言語音生成及び受容のメカニズムを解明するため,脳波(Electroencephalogaphy : EEG)および脳磁図(Magnetoencephalography : MEG)を用いて音声言語の表出・認知に関わる中枢処理機構を検討した。 ヒト脳,特に聴覚野の可塑性の研究では世界でも有数の長い歴史を有するPantev教授の研究室(Rotman Research Institute, Baycrest Centre. University of Toronto, Canada)における資料収集および研究打ち合わせを行い,ヒトの声聴取に特異的な脳活動と発声時の運動制御に関わる脳活動についてMEGを用いて検討した。この成果の一部は,第13回国際生体磁気学会にて報告され,NeuroscienceLetterに発表予定である。また,Bialystok教授(York University, Canada)との共同研究で,幼少時に2つ以上の言語を習得したバイリンガルを対象として,言語選択に関わる中枢のSwitching能力についてMEGによって記録された。現在,解析中である。一方で日本語のみを母国語とするヒト(モノリンガル)における/l/と/r/の音弁別に関わる脳活動の様子を捉えた。この成果はNeuroImageに掲載予定である。また,これまで,脳磁図を用い,語音を主に構成する中域可聴音に対するトノトピイ(周波数局在性)存在が報告されているが,高域音に対する検討はされていない。そこで,健常成人可聴域上限までの高周波に対するヒトの聴覚誘発脳磁場反応(Auditory Evoked magnetic Field, AEF)を計測し,高周波可聴域においても,聴覚野のトノトピイが保持されていることを確認した。この成果はNeuroscienceに掲載された。
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