昨年に引き続きSm_2Fe_<17>化合物の不均化反応により生成する微細α-Fe粒子のGHz帯電磁波吸収特性についての研究を行い以下の結果を得た。 1.Feの一部をCo置換した組成の合金にて、窒素中650℃で不均化処理および250℃での大気中酸化処理した試料において、置換なしの試料に比べ飽和磁化が20%高い微細(Fe-Co)粒子を得ることができた。 2.上記磁性粉末の樹脂複合体において、1〜10GHzの領域で透磁率の上昇が観察され磁性損失の周波数分散ピークの高さが14%上昇した。結果として1〜2GHzの領域でCo置換なしの試料に比べ30%程度厚さの薄い吸収体を構成可能であることが示唆された。高充填量で作製した試料において吸収中心周波数1.70GHz、吸収体厚さ2.86mm(最大電磁波吸収量99%以上)が得られた。 軟磁性体では対応ができない10GHz以上の帯域で電磁波吸収体としての機能が期待できる硬磁性希土類-鉄-ボロン(RE_2Fe_<14>B : RE=Rare earth)化合物の自然共鳴現象および電磁波吸収特性についての研究を行い以下の結果を得た。 1. Sm置換により自然共鳴周波数を制御したNd_2Fe_<14>B化合物の樹脂複合体において、化合物の自然共鳴周波数に近い共鳴周波数の磁性損失ピークが得られた。Sm置換量を最適化した結果(Nd_<0.655>Sm_<0.345>)_2Fe_<14>B組成において共鳴周波数43GHZという値が得られ、この周波数以上の帯域で電磁波吸収体として機能することが示唆された。これまでに同周波数帯域で報告のあるM型フェライトやカーボンゴム吸収体に比べ吸収体厚さが30%以上薄くなることがわかった。 2. RE=Yの系について同様な検討を行い、吸収体として対応可能な周波数は最小20GHz(〜50GHz)であるという結果が得られた。
|