対外発表については、宮崎らと共著で昨年度末に投稿した1次元ジョセフソン接合列の実験の論文がPhysical Review Letters誌の2002/11/4号に掲載された。またジョセフソン接合配列における次元の効果および1次元列における量子相転移に関する実験について、第23回低温物理国際会議においてポスター発表した。これらの一連の研究について、Loc2002国際会議において招待講演を行った。 実験については、2つの研究を着実に進めている。1つは、ジョセフソン接合1次元列において量子相転移のコントロールパラメータを変化させる実時間速度を変え、位相欠陥が生じるかを調べる実験である。まずサンプル作製について、ブレーク接合の作製技術を習得した。これは、りん青銅基板上に金属の非常に細いブリッジを作製し、その基板を湾曲させてブリッジを切断し、ポイントコンタクトを形成させるというものである。また磁気シールドを備え、機械的な運動を導入できるサンプルホルダーおよび周辺部品の設計を行った。もう一つは11月末からヘルシンキ工科大学低温ラボラトリーにおいて行っている微小接合を用いたノイズ検出器についての実験である。微小ジョセフソン接合の電気伝導特性は周りの環境に大きく影響されることが、最近の実験で明らかにされてきた。そのような接合を用いれば、高感度のノイズ検出器を作製できると考えられる。このような検出器のサンプルを作製することに成功し、低温において測定を行った。検出器にキャパシティブに結合したSETおよび別の単一接合を流れる電流の値によって、検出器接合のゼロバイアス抵抗が変化するのを観測した。これは予想したメカニズムが実際に働いていることを強く示唆する。今後別のサンプルでも測定し、理論との整合性などを検討する。
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