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2002 年度 実績報告書

"鑑識眼"の認知心理学的研究―物質文化の分類に関する総合的研究―

研究課題

研究課題/領域番号 01J10256
研究機関九州大学

研究代表者

時津 裕子  九州大学, 人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)

キーワード"鑑識眼" / 認知技能 / アイカメラ / 描画法
研究概要

昨年度に引き続き,遺物観察時の眼球運動測定および描画法を用いた実験を行った。これらの研究経過は諸学会にて順次発表を行っている。とくに日本考古学協会で行った成果発表("鑑識眼"の研究-専門的認知技能研究が考古学界にもたらすもの-)は,大きな反響をもって受け止められた。この発表を基礎として論文「"鑑識眼"の研究-考古学者の専門的認知技能に関する実証的研究-」をまとめた。また"鑑識眼"保持者の遺物観察パターンに関する詳細な分析を行った論文を別途,投稿中である。
さらに今年度は新たな展開として,考古学者の"鑑識眼"と,考古学者が研究の対象とする土器の製作者の"鑑識眼"の比較検討をする目的で,タイ東北部で伝統的土器製作を対象とするフィールドワークを実施した。観察・聞き取り等の民族考古学的調査と並行して,認知技能を測定する実験を行った。陶工および絵付け職人を被験者として,土器の分類・同定課題や評定,および製作者同定の課題に取り組ませた。なおこれらの成果については人類史研究会14回大会(3月9日)にて発表を行う。
実験結果から,土器製作者が考古学者とならんで,土器に対する優れた鑑識技能を有していることが明らかになった。製作者同定を行う際の着眼点には両者に共通性がみられたが,陶工が製作時に重視する土器の部位と考古学者が分類に際して重視する部位には相違点も確認された。審美的な価値観と学術的な関心という立脚点の相違が,土器という同一対象への鑑識技能に対し,それぞれ異なる性格を与えている可能性が高い。この領域ごとに異なる"鑑識眼"の性質(領域固有性)について,領域間の共通性(領域一般性)と共に,今後さらなる検討を行っていく必要がある。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] 時津裕子: ""鑑識眼"の研究-考古学者の専門的認知技能に関する実証的研究-"日本考古学. 14. 105-125 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子: "近世墓標研究の射程-墓石から何を読むか-"帝京大学山梨文化財研究所紀要. 10. 147-165 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子: "アイカメラを用いた遺構認識パターンの研究-土層断面の観察を課題として-"人類史研究. 13. 155-161 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子: "東北タイにおける伝統的土器製作者の認知技能の特質解明に向けた総合的研究"アジア太平洋センター若手研究者助成報告書 福岡発・アジア太平洋研究報告. 11. 135-146 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子, 中園聡: ""鑑識眼"の研究-専門的認知技能研究が考古学界にもたらすもの-"日本考古学協会第68回大会発表要旨集. 151-154 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子: ""鑑識眼"の認知心理学的研究-描画法を用いて-"日本心理学会第66回大会発表論文集. 686 (2002)

  • [文献書誌] 大沼夏子, 箱田裕司, 野田奈緒子, 時津裕子, 大上渉: "情動的ストレスの発生が眼球運動に与える影響-停留時間の長さを指標として-"日本心理学会第66回大会発表論文集. 595 (2002)

  • [文献書誌] 時津裕子, 中園聡: "土器製作者の認知技能-タイ・プールー村の絵付け実験から-"人類史研究会第14回大会発表予稿集. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 時津裕子, 中園聡: "東北タイにおける土器の製作工程とその名称-認知心理学的観点を含めて-"人類史研究会第14回大会発表予稿集. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 中園聡, 時津裕子: "東北タイにおける土器製作"人類史研究会第14回大会発表予稿集. (印刷中). (2003)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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