研究概要 |
従前の調査研究を発展させ,総括的な成果発表に取り組んだ. まず考古学者の遺物観察時の特徴的な眼球運動パターンについて詳細な検討を加え,論文にまとめた(考古学的熟達者の土器注視パターン『認知心理学研究』印刷中).これらの成果の一部は,共同で編集・執筆を行った『認知考古学とは何か』(2003年12月刊行,青木書店)に示されている.本書はすでに考古学界内外から高い評価を受けている.さらに一昨年度より実施している,タイ東北部の伝統的土器製作者の認知を対象とした調査成果について,分析・検討を進めた.中でも土器製作者の"鑑識眼"(とくに製作者同定能力)と考古学者の"鑑識眼"の比較検討を行った結果については,日本心理学会で発表した("鑑識眼"の認知心理学的研究-考古学者の分類特性-). 新たな取り組みとしては,以下のようなものに着手した. 考古学的"鑑識眼"の基盤となる知識表象について検討することを目的とし,画像処理された土器の線画の評定課題を用いて,熟達者が形成している遺物カテゴリーの特性の検証を試みた.分析の結果,熟達化の程度が高まるほど,カテゴリーのプロトタイプが狭まることや,特定の形態的特徴を重視するようになるなどの知見が得られた.この成果を日本認知心理学会第一回大会にて発表し(考古学的"鑑識眼"の研究-遺物カテゴリーの特性-),学会賞を受賞した(優秀発表賞「新規性評価部門」).また眼球運動測定法を用いて考古学的フィールド(墓地)における認知の検討を行ったものがある.その成果は日本考古学協会第69回総会で発表を行ったが(アイカメラを用いた墓地空間・墓石認識パターンの認知考古学的研究),大きな関心をもって受け止められた. 以上のような研究活動は,主に新規性・独創性の点で評価され新聞に掲載された(朝日新聞2003年12月7日朝刊).
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