研究概要 |
1.古典群より得られるassociation schemeの指標表に関する1990年前後の坂内,Song,Kwok達による結果、Terras達によるEuclidグラフ・有限上半平面グラフに関する結果、及び私の修士論文の内容を組み合わせることにより、Ramanujanグラフと呼ばれる良いクラスのグラフが組織的にかつ大量に構成されることが見出された。ここでは、これらのassociation schemeの指標表が低いランクのものによりコントロールされるという事実が決定的に重要な役割を果たす。この成果は、坂内教授、島袋修氏との二編の共著論文として投稿され、その内一編はEuropean Journal of Combinatoricsに掲載が決定した。 2.有限環Z_q=Z/qZ上の非退化二次形式より構成されるaffine typeと呼ばれる対称association schemeを考察し、それらの指標表を完全に決定した。この研究は、Kwokによる有限体の場合についての1992年の結果に触発されて行ったものであるが、証明に用いた手法はKwokのものとは全く異なる。なお、指標表は有限環上のKloosterman和を用いて統一的に記述され、指標表間のコントロールに関する有限体の場合の結果と類似の現象がここでも見出された。 3.複素鏡映群G(r,1,n)と対称群G_nのGelfand pairについてその環積の帯球函数の超幾何級数表示を与えた水川裕司氏の結果を見直し、同様の表示が一般にcharacter algebraと呼ばれる代数において可能であることを示した。これは、基本的なassociations chemeであるHamming scheme H(d,q)の指標表がKrawtchouk多項式を用いて記述できるという結果の拡張である。この結果は、水川氏との共著論文としてまとめ、Proceedings of the American Mathematical Societyに投稿中である。
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