海洋産の渦鞭毛藻Amphidinium sp.の培養藻体から単離した抗腫瘍性25員環マクロリド・Amphidinolide Cは、テトラヒドロフラン環、共役ジエン(S-cisおよびS-trans)、水酸基、エキソメチレン、エステルカルボニル基、ケトカルボニル基、といった多彩な官能基・部分構造を持ち、12個の不斉炭素を有するユニークで複雑な構造の化合物である。しかしながらこれまで、Amphidinolide Cの立体化学については、一部の相対立体配置の推定がなされているのみであり、作用メカニズムの解明および構造活性相関についての研究が展開できない状況にある。一方、Amphidinolide Cは奇数員環のマクロリドで、隣接するメチル基-エキソメチレン基を有するなど通常のポリケチド生合成経路では説明のつかない炭素骨格を有しており、その生合成経路についても興味が持たれる。本研究では、Amphidinolide Cの絶対立体配置を解明し、合成研究とそれに続く活性評価を可能にするとともに、生合成経路の解明を目的として研究を行った。 1)Amphidinolide CのC-1〜C-10とC-17〜C29に相当するセグメントを合成し、天然物由来の反応生成物とスペクトルデータを比較により、3位、4位、6位、7位、8位、20位、23位および24位の絶対立体配置を決定した。 2)Amphidinolide Eについて、NMRデータの解析、分解反応、セグメントの合成により、8個の不斉炭素の絶対立体配置を明らかにした。
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