研究概要 |
平成14年度は、札幌市に住む活動的創価学会員の入会・入信動機、活動頻度、家族状況、ジェンダーに関する意識、二世信者の背景的状況などについて調査するため、北海道創価学会の方と交渉の末、1200名の活動的学会員を対象に調査票調査を実施した。平成14年の11月に実施し、820票あまりが回収された。本研究の目的は、信仰継承過程の解明であるため、非活動者や組織から離脱した二世信者への調査が実施されるべきであったが、実際的には困難がともなうため、活動的二世信者の状況について調査した。一世信者との比較などから間接的ではあるが、信仰継承に関する知見を得られるものと思われる。年度終了近くの調査であったため、まだ詳細な分析結果は出ていない。今後は、この調査の分析を深めるとともに、調査票調査では拾いきれなかった信仰継承とジェンダーの再生産過程の質的な側面をインタビュー調査によって補充する予定である。 また、ものみの塔聖書冊子協会については、雑誌論文(『宗教と社会』第8号,19-38)が掲載された。ここでは、信仰を継承しない場合も二世信者特有の問題があり、またジェンダーの要素が重要な意味を持つことを確認している。日本宗教学会大会のテーマセッションにおいて家庭にとどまることが多い既婚女性が教団組織活動へ参加する理由は、ジェンダーに規定されている部分が大きいことについて事例をもとに発表した(外部との接触、知的刺激にかけていたこと、仕事中心などの理由から夫とのコミュニケーションが希薄であったことなどを解消する手段として教団活動が女性たちに認知された)。 本年度の調査研究から、教団組織におけるジェンダーの問題をとらえるには教団組織活動への関与度を確かめる必要性が確認され、創価学会の調査においても家族における社会化過程とともに組織における社会化の側面をより重視した分析を行う方向に修正された。
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