• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

シオミズツボワムシの個体数変動の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01J72504
研究機関東京大学

研究代表者

吉永 龍起  東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)

キーワード個体数変動 / 分子機構 / シオミズツボワムシ / インスリン様シグナル伝達経路 / 生活史特性 / 繁殖戦略 / 繁殖 / 寿命
研究概要

シオミズツボワムシ(以下ワムシ)の個体数変動は,個体群を構成するそれぞれの個体の生活史特性値が変化することによって起こる.ワムシは水温や餌の量が変動する不安定な環境下において,繁殖の活性や寿命を柔軟に変化させて適応度を増大させる能力を有し,こうした変化が個体群の出生率と死亡率のバランスを偏らせ,個体数の大変動が起こる.
そこで,ワムシの生活史特性を制御する分子機構としてインスリン様シグナル伝達経路に着目し,この経路を構成する分子のクローニングおよび発現解析を行った.まず,本経路の主要な構成分子であるフォスファチジルイノシトール3-OHリン酸化酵素(PI3-k)の特異的阻害剤(LY294002)を用いた培養実験により,本分子がワムシの寿命を制御していることを明らかにした.引き続いてワムシからPI3-k遺伝子をクローニングした.また,IGFシグナル伝達経路の標的であるMnスーパーオキシドジスムターゼ(SOD),およびもう1つの重要な抗酸化酵素であるCu/ZnSODをクローニングし,タンパク質コード領域の全長の塩基配列を決定した.さらに,クローニングした遺伝子の定電解析を行うため,高感度なリアルタイム逆転写PCR法を確立した.MnSOD遺伝子およびβアクチン遺伝子の定量解析を行ったところ,体細胞数が1000個弱の1個体のワムシを試料とした場合でも本法は有効であることが分かった.引き続いて,水温など種々の環境ストレスに対する適応の能力を遺伝子レベルで調べるため,代表的なストレスタンパク質をコードするHSP70およびGRP94遺伝子をクローニングした.
今後は,これまでにクローニングした遺伝子の発現量を詳細に解析し,ワムシ個体数変動の機構を分子レベルで明らかにしていく予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Yoshinaga, T., et al.: "Why do rotifer populations present a typical sigmoid growth curve?"Hydrobiologia. 446. 99-105 (2001)

  • [文献書誌] Yoshinaga, T., et al.: "Effect of periodical starvation on the survival of offspring in the rotifer Brachionus plicatilis"Fisheries Science. 67. 373-374 (2001)

  • [文献書誌] Yoshinaga, T., et al.: "Gene expression pattern during population growth of the rotifer Brachionus plicatilis"Fisheries Science. 68 suppl(1). 793-796 (2002)

  • [文献書誌] Yoshinaga, T., et al.: "Life history response and age-specific tolerance to starvation in Brachionus plicatilis O.F. Muller (Rotifera)"Journal of Experimental Marine Biology and Ecology. 287. 261-271 (2003)

  • [文献書誌] Yoshinaga, T., et al.: "Review : The molecular mechanisms of population dynamics : a novel approach in rotifer"Comparative Biochemistry and Physiology. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Kaneko, G., et al.: "Changes in expression patterns of stress protein genes during population growth of the rotifer Brachionus plicatilis"Fisheries Science. 68. 1317-1323 (2002)

  • [文献書誌] 東京大学海洋研究所編: "海の100不思議 「魚の寿命」「イワシはなぜ減ったのか」吉永龍起(2項目分担)"東京書籍,東京(印刷中). (2003)

URL: 

公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi