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2003 年度 実績報告書

シオミズツボワムシの個体数変動の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01J72504
研究機関東京大学

研究代表者

吉永 龍起  東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)

キーワードシオミズツボワムシ / 個体数変動 / インスリン様シグナル伝達経路 / ストレス応答 / 生活史特性 / 分子系統
研究概要

生物の個体数は,個体群を構成する個体の繁殖と寿命によって決まる.すなわち,繁殖による出生が死亡を上回れば個体群は成長し,逆に死亡が上回れば個体数は減少する.本課題では,個体の繁殖と寿命といった生活史特性を制御する分子機構に着目し,シオミズツボワムシの個体数変動におけるインスリン様シグナル伝達経路の働きについて調べてきた.本経路は線虫において,寿命を直接制御し,繁殖器官から放出されるシグナルとも関わっている.そこで,本経路の構成分子の1つであるPI3Kの特異的阻害剤を用い,本分子がワムシの寿命制御に関わっていることを明らかにした.引き続いて,本経路の標的分子であるスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子をクローニングし,定量的リアルタイムPCRを用いて発現解析を行った.
一方,個体群の突然の崩壊には,環境ストレスが関わっている.すなわち,水温など物理的要因は絶えず変化し,生物にストレスを与えている.こうしたストレスの度合いが強いと生物は生存できず,個体群は崩壊する.これに対し,生物はストレス応答の能力を持ち,生命を維持している,ワムシは熱帯から亜寒帯にまで分布する汎存種であり,様々な水温に適応している.したがって,ストレス応答の機能を調べていくためには,近縁種間で比較する方法が有効である.そこで,ワムシの比較生理学を行うのに先立ち,知見の不足した熱帯域を網羅した分子系統解析を行った.まず,インドネシアに生息する2系統のワムシを採集した.引き続いてCOI遺伝子部分塩基配列を決定し,熱帯から亜寒帯を網羅した14種・系統からなる分子系統樹を作製した.その結果,熱帯に生息するツボワムシ属ワムシの系統的位置が推定された.今後は,これらのワムシの水温適応機構を遺伝子のレベルで比較していくことで,個体群の崩壊に関わる分子経路が明らかになると期待される.

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Yoshinaga et al.: "The molecular mechanisms of life history alterations in a rotifer : a novel approach in population dynamics."Comparative Biochemistry and Physiology, Part B. 136(4). 715-722 (2003)

  • [文献書誌] Yoshinaga et al.: "Molecular phylogeny of the rotifers with two Indonesian Brachionus lineages."Coastal Marine Science. 29(1)(印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Yoshinaga et al.: "Insulin-like signaling pathway involved in regulating longevity of rotifer."Hydrobiologia. (掲載受理).

  • [文献書誌] Yoshinaga et al.: "Life history response and age-specific tolerance to starvation in Brachionus plicatilis O.F.Muller (Rotifera)."Journal of Experimental Marine Biology and Ecology. 287. 261-271 (2003)

  • [文献書誌] Kaneko et al.: "Molecular characterization of Mn-superoxide dismutase and gene expression studies in dietary restricted Brachionus plicatilis rotifers."Hydrobiologia. (掲載受理).

  • [文献書誌] 吉永龍起: "ワムシの個体数を決めるメカニズム 繁殖と寿命を制御するIGF-1経路に迫る"化学と生物. 42(4). 216-218 (2004)

  • [文献書誌] 吉永龍起: "「海の100不思議」魚の寿命(東京大学海洋研究所編)"東京書籍,東京. 227 (2003)

  • [文献書誌] 吉永龍起: "「海の100不思議」イワシはなぜ減ったのか(東京大学海洋研究所編)"東京書籍,東京. 227 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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