研究課題
1.極東における森林管理組織及び木材生産の動向ペレストロイカ・ク-デタ-の失敗・臓連邦の解消・CISの発足という大きな政治的な変動、一方では市場経済への移行という社会的混乱の中で、従来の国家森林委員会による一元的な森林管理は崩壊した。極東の森林の伐採地域のかなりの部分は、林産工業省の組織下にあった州(地方)の総合レスプロムに実質的に移管された。サハリン州でも同様で、蓄積の多い森林の部分は、レスプロムに組み入れられた。さらに、サハリンでは、州の経済部局の中に編入するという動きもある。このような中で、木材生産量は停滞している。表面的には伐採の奥地化・輸送距離の延長が伐採効率を重視した収穫方法を超える要因となっている。基本的には、生産輸送組織の硬直的な体質と道路・港湾・車両等の生産基盤の劣悪さがあり、これらの改善なしには掠奪的な森林利用が急速に進展すると予測され、跡地の更新も期待できない。林産工業についても同じである。2.サハリンの生物相の記載と遺伝子保存樹木種子の一部は寄贈により取得したが、今後は交換等を継続的に行うことにした。サハリンの自然は急速に変わりつつあり、北限のアカエゾマツ林、南限のグイマツ林、北限のエゾイタヤ林、中央部のエゾマツ林など、貴重な森林の構造を帯状区法で記載した。また、淡水の動物相(魚類及び昆虫の一部)について、オプチハ川・オロロフカ川・ピルヴォ川で調査し、北海道とは異なる生息状況にあることがわかり、その解明が今後の課題となった。同上の地域で哺乳類についても調査し、移入の歴史の浅いアカシカがサハリン全域に生息域を拡めていることが判明した。
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