研究課題/領域番号 |
02041012
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (00114497)
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研究分担者 |
BEYENE Tadde アヂスアベバ大学, エティオピア研究所, 助教授(所長)
WERE Gideon ナイロビ大学, アフリカ研究所, 教授(所長)
篠原 徹 歴史民俗博物館, 民俗部門, 助教授 (80068915)
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キーワード | 生業牧畜 / 地域商業網 / 水場管理組識 / オロモ系諸民族 / ソマリ系諸民族 / 井戸町 / 民族間関係 / 地域経済史 |
研究概要 |
佐藤、篠原、広谷(研究協力者)の3名は、それぞれエティオピア南東部のガレ族、アファル族、ボラナ族の3民族の生活領域に住み込み、一方、研究協力の曽我と湖中は、それぞれケニア北東部のガブラ族とガレ族の生活領域に住み込んで、地域の概況と調査地の選定を行った。この過程で、以下の知見を得ることができた。 1)地域の歴史的背景: エテイオピア、ソマリア、ケニアの3国国境は、ボラナ族を中心にしたオロモ系諸民族の南下とダ-ロ-ド族とオガデン族を中心にしたソマリ系諸民族の北上と西方移動により、激しい民族抗争が繰り返されてきた地域であり、2つの大勢力の狭間に、レンディ-レ、ガレ、ガブラなどの少数民族が、いずれかの勢力と対立したり、連合したりして生存を図ってきた。この過程で、個々の民族集団の分裂と分裂集団間の再統合が繰り返されてきた。この結果、民族集団を横断するかたちで、個々の家系網が張りめぐらされている。このことは、伝承の他にも、異なる民族に所属する出自集団間で共通の名前と家畜印が使用されていることでも証左される。 2) 地域商業網の構造: トウルカナ、レンデイ-レ、マサイなどの生業牧畜とは違い、ボラナとガレなどの生業牧畜には、家畜や商品の仲介交易に関与するセクタ-が組み込まれている。3国国境地域の重要な流通拠点は、仲介交易網によってつながれている。ラクダのキャラバン隊と交易用の畜群の移動を可能にするために、当該民族の関係者によって、井戸町が要所に設置されている。さらに、井戸町と交易路によって構造化される仲介交易網が、個々の民族集団の生活領域内で維持されている。 以上の研究成果を踏まえ、またガレ族の歴史人類学的研究者のゲタッチョウ・カッサ氏を招聘して、前年度の中間総括を煮つめてから、各自の研究課題に準拠して、平成3年度の第2次調査を実行する予定である。
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