研究課題
ヨ-ロッパ各地の美術館等に所蔵される中国絵画調査を実施した結果、対象とした総作品点数は、今回、685点にのぼり、予想を200点近く越える多大の成果を挙げることができた。そのうち、オランダのアムステルダム国立美術館では、前回調査し得なかった作品の本格的調査を実施した。また、中国絵画の大コレクションを有する大英博物館やストックホルム・アジア美術館等については、前回未調査の作品や新収品の調査を中心として、コレクションの実態を正確に把握することに務めた。一方、スペイン・イタリアにおいては、当地の修道会が第二次世界大戦以前に中国で収集した絵画コレクションの調査を実施し、中国で布教活動を行なっていたヨ-ロッパ各地の修道会のコレクションのより詳細な実態調査が必要であることが判明した。これは、今回、チェコスロバキアを除いて調査し得なかったソビエト連邦・東欧諸国における中国絵画コレクションのそれと共に、今後の課題とし、ヨ-ロッパ全域における中国絵画コレクションの実態把握をより完壁なものにしてゆく努力を重ねてゆきたい。今回の第二次調査の結果、前回調査で得られた成果と併せて、西欧各地の中国絵画コレクションに関しては、その大半を把握し得たものと考える。ただ、前述の通り、ソビエト連邦・東欧諸国のそれについては、政治情勢の激変に伴ない、事前の準備が不足となり、殆んど調査が及ばなかった反省にたち、アメリカ所在の中国絵画コレクションに関しては、きめ細かい準備を行なった上で、本平成3年度の実地調査に臨むこととしたい。
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