中国序辺部における言語接触と社会変容ー漢族文化と非漢族文化との相互関係ー

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02041028
• 研究機関: 東京外国語大学
• 研究代表者: 中嶋 幹起 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (10014507)
• 研究分担者: 特布信 内蒙古大学, 教授 ; 侯 精一 中国社会科学院, 語言研究所, 副所長 ; 李 〓 中国社会科学院, 語言研究所, 教授 ; 胡 坦 中国藏学研究中心, 教授 ; 照那斯〓 中国社会科学院, 民族研究所, 研究員 ; 加藤 直人 日本大学, 法学部, 専任講師 (90130468) ; 石橋 崇雄 国士館大学, 文学部, 助教授 (50184560) ; 西澤 治彦 武蔵大学, 人文学部, 助教授 (80218148) ; 諏訪 哲郎 学習院大学, 文学部, 助教授 (00129222) ; 中見 立夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20134752) ; 斯波 義信 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00039950) ; 梅田 博之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20014459)
• キーワード: 言語接触 / 文化変容 / 漢語 / 中国少数民族 / 〓案館資料 / 満文 / 人口移動 / 民族関係

研究概要

研究代表者および各研究分担者は、中国の南北を軸とする広域的な調査を行なった。
北方班の梅田は、吉林省延辺朝鮮自治州を中心に言語の記述的研究を行った。自治州の朝鮮語も世代間の差異が著しく、この差異を重点的に研究した。中見は、内モンゴル〓案館で所蔵文書の調査をし、北京の第一歴史〓案館において、モンゴル・満洲関係文書の収集をした。加藤は、新彊ウイグル自治区でシボ族の実態把握を行ない、基本的知識を得た。また黒龍江省においては、三家子屯、大五家子駐屯に居住する漢族の実態を調査し、汁氏の漢文家譜を発見した。石橋は、遼寧省の満族自分県でヌルハチの旧老城を調査したほかに、省図書館を中心に文献調査を行ない、旗地則例満文本や乾隆初期の満文本を調査した。華中班の斯波は、紹興・寧波地区を中心に人口移動と社会変化の調査を行ない、新たなデ-タを得た。中嶋は、湖北省の〓水、東南隅に位置する蒲圻・嘉魚の両県で言語調査を行ない、音韻面では、破裂音の系列に、古漢語の一般的発展規則に従わない特殊な変化が見られること、巨視的には、湖北方言は、類型的に見て、南方系に属するとの結論を得た。南方班の諏訪は、納西族文化と周辺諸民族文化との相互関係の解明を目指しているが、今年度は、雲南省紅河地区で焼畑農耕に従事するタイ族の集落を訪問し、主として、生業形態と諸儀礼の実態把握につとめた。また、麗江地区では、聞き取り調査によって、言語における漢民族文化の浸透の実状把握を試みた。西澤は、広西チワン族村落を訪れて、チワン族と漢族との相互関係について聞き取り調査を行ない、漢族との複雑な状況におかれているチワン族の現状を把握した。

研究成果

• [文献書誌] 中嶋 幹起: "中国西北地区の漢語方言の特徴" 言語文化接触に関する研究. 4. -100 (1992)
• [文献書誌] 梅田 博之: "延辺朝鮮自治区の朝鮮語の特徴" 言語文化接触に関する研究. 4. -100 (1992)
• [文献書誌] 諏訪 哲郎: "納西族の社会文化変容" 言語文化接触に関する研究. 4. -100 (1992)
• [文献書誌] 西澤 治彦: "壮族の社会文化変容" 言語文化接触に関する研究. 4. -100 (1992)
• [文献書誌] 中見 立夫: "清朝史料と日本人" 神田信夫先生古稀記念論文集. -30 (1992)
• [文献書誌] 加藤 直人: "清代新彊の遣犯について" 神田信夫先生古稀記念論文集. -30 (1992)
• [文献書誌] 斯波 義信: "華僑" 岩波書店, -250 (1993)
• [文献書誌] 中見 立夫: "内陸アジア史" 朝日新聞社, -400 (1993)