研究分担者 |
磯村 計明 北九州工業高等専門学校, 教授 (80037887)
鍜治 利幸 北陸大学, 薬学部, 講師 (90204388)
山口 幸祐 島根県衛生公害研究所, 主任研究員
北村 守次 石川県保健環境センター, 研究主幹
丁子 哲治 富山工業高等専門学校, 助教授 (80092790)
村本 健一郎 金沢大学, 工学部, 助教授 (70042835)
上木 勝司 山形大学, 農学部, 教授 (10111337)
原 宏 国立公衆衛生院, 主任研究官
全 浩 国家環境保護局, 中日友好環境保護中心, 副総工程師
金 煕江 建国大学校工科大学, 教授
韓 義正 国立環境研究院, 大気化学担当官
李 敏煕 (社)環境同友会, 研究委員
宮崎 元一 金沢大学, 薬学部, 教授 (50009164)
HAO QUAN China National Environmental Monitoring Center, Vice Office Chief, China
EUI-JUNG HAN National Institute of Envieronmental Research, Head Researcher, Korea
HUI-KANG KIM College of Engineering, Prof. Kon-Kuku Univ. Korea
MIN-HEE LEE kyongju College, Assoc. Prof. Korea
KAJI Toshiyuki Faculty of Pharmaceutical Sciences, Asst. Prof. Hokuriku Univ.
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研究概要 |
本年度は本研究課題について最終年度にあたるため,これまでの研究及び調査の取りまとめを中心にして研究を進めた。 韓国においては前年度と同様に都市部及び農村部について調査を継続した。中国においては中国で発生した大気汚染物質が長距離輸送されて,我が国の酸性雨・雪に少なからぬ影響を及ぼしていることを昨年春に,中国政府は認めている。このことは本研究の研究代表者である平井に交付された科学研究費重点領域研究(昭和62,63年度)及び海外学術研究(平成元年度)で,西高東低の気圧配置の場合の降水中の硫酸イオン濃度が他の移動性前線型や停滞前線型等の気圧配置の場合の降水に比して,2倍程度高濃度であることを初めて見出している。理由として,日本海をへだてた大陸から輸送されることを予想していた。 このため,昨年度の春に本研究班の日本側2名(平井英二,丁子哲治)と中国側1名(全 浩)が酸性雨の影響が大きいとされている重慶市へ出張し,同市の環境科学研究所のスタッフと研究発表及び意見の交換を行った。この成果の一つとして,本年度秋に重慶市で本研究班と重慶市環境保護局とが主催し,大気汚染に関するシンポジウムを開催することを決定した。 なお,日本の研究スタッフの研究成果の発表は本報告書に記載されている通り,多くの発表があるので,すべて述べることはできないので,酸性降水の土壌による中和反応について新しい知見をえた。よって,重慶市での研究及び調査と,土壌の中和反応機構の新しい知見について述べる。 1 重慶市及び中国での酸性降下物の動向 「中日大気汚染防止対策シンポジウム-重慶′92」(平成2年10月,重慶市で開催,要旨集は本報告書に添付)と,重慶市環境保護局,中国の研究期間及び大学の意見を綜合する。 中国での酸性雨は,日本や北アメリカ,ヨーロッパと比較すると,硝酸よりも硫酸の割合が多く含まれている硫酸型である。これは化石燃料消費の80%を占めている石炭中の硫黄含有量が多いことである。このことはエネルギーの利用効率の低いことと,脱硫が進んでいないことによる。また,北京や天津は重慶や貴陽と比較するに,硫酸イオン濃度はほぼ同じであるが,NH_4^+,Ca^<2+>の濃度は前者が高い。これらのデータをTable1に示す。このため,中国の北部では降水の酸性化は生じていない。北部は一部をのぞき,塩基性土壌が分布しているので,大気中の粒子状物質は,土壌の化学的性質を持っているので,降水に溶け込んだ場合,酸は中和されると推定される。換言すれば北西部の黄土高原とタクラマカン砂漠で発生する黄砂も酸性雨の中和の原因物質である。これに関係して本研究班の韓国の李敏煕は韓国を中心に研究を進めて,昨年3月に金沢大学より博士(工学)を得ている。 2 酸性降水の土壌による中和反応 中和機構を実験によって明らかにした。土壌粒子そのものが持っている中和機構としては,粒子表面での陽イオン交換反応及びAl酸化物の溶解反応が考えられる。さらに土壌気相中のCo_2の溶解反応が関与し,これらの3つの化学反応が中和機構を構成していることが明らかになった。そして表流水の酸性化についてシミュレーションを行った。その結果,表流水を酸性化させる支配的な因子は降水の_pH,土壌の中和能,土壌気相中のCO_2濃度が関係している。 なお,条件によっては,地下水が河川へ表流しても,その_pHは上昇せず,酸性にとどまるばかりでなく,生態系に阻害作用をもっているAlの溶出が起こることがシミュレートされた。今後は生物の取り込み等の生物的中和反応等の検討も行いたく考えている。 今日までの中国との共同研究や指導について,中国の国家環境保護局の曲局長より奨状を昨年11月に頂いている。奨状のコッビイは本報告書に添付してある。中国の国外では最初の奨状である。
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