研究概要 |
本研究の目的は、アフリカのの熱帯多雨林で生活する狩猟採集民、漁撈民及び焼畑農耕民の生態と文化の特性を、伝統的な自然認識と資源利用の仕組みを通して明らかにし、人間の生活環境としての熱帯多雨林がもつ可能性を浪究することである。 平成3年度においては、平成2年度にひきつづきザイ-ル国及びコンゴ国において現地調査を進める予定であったが、ザイ-ル入国直後に同国の政情が悪化し,国外退去を余儀なくされたため,ザイ-ルでの調査を諦め,日本人研究者全員がコンゴ国北部のリクアラ州において焼畑農耕民モンドンゴ族、及び狩猟採集民のアカ(バンベンガ)族の比較調査にあたった。 まず、ウバンギ川支流のモタバ川流域における農耕民及び狩猟採集民の分布調査をおこなった後、最上流域において狩猟採集民のアカ族の狩猟活動、採集活動、動植物の認知に関する予備的な行なわれた。 また,モタバ川中流域の焼畑農耕民の集落において、焼畑の開墾面積、作物、作付様式、収量、休閑期間、植生回復状況等に関する生態人類学的な予備調査が行なわれたほか、スワンプにおける水位の変化を利用した漁撈活動や、各種のやし類を中心としたスワンプの植物利用、蛋白源としての動物の狩猟等に関する調査が行なわれ,興味深い資料を収集した。 また、モタバ川流域では合計400種余りの植物を採集し、それらの方各、利用法に関する民族植物学的情報を集めた。また,採集した植物の学名の同定をブラザビルのORSTOM(熱帯科学研究所)及びブリュッセルの国立植物園にて行なった.
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