研究分担者 |
太田 昌秀 ノルウェー極地研究所, 主任研究官
松尾 禎士 電気通信大学, 教授 (30015490)
丸山 孝彦 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (60006682)
石川 賢一 東北大学, 教養部, 助手 (20158744)
蟹沢 聰史 東北大学, 教養部, 教授 (70005784)
山口 佳昭 信州大学, 理学部, 助教授 (50144689)
山田 哲雄 信州大学, 理学部, 教授 (30020647)
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研究概要 |
平成2年度は平成2年7月8日から8月26日まで黒田及び研究分担者(山田,蟹沢,山口,丸山,石川)5名で,ノルウェ-地域のバルチック質状地,オスロ-地溝帯の火成岩類の野外調査と岩石標本の採集に当った。その結果,バルチック質状地の中では最も若い(〜8億年前)花崗岩質,アルカリ花崗岩質のいくつかの岩体について,その岩体を代表しうる多数の試料を採集した。オスロ-地溝帯ではいくつかのアルカリ岩体の試料を採集したが,アルカリ岩体は岩相の変化に富んでいるので,全体の特徴を明らかにするのに十分な個所から採集できたかどうかはまだ判然としない。 帰国後10日に試料が届いたので,研究分担者ごとに分配して,それぞれの研究をはじめたが,膨大な箇数であるのでその処理には時間がかかり,平成3年までかからないとデ-タは揃わない。しかし,今まで作成された岩石薄片の観察からは,日本列島には産出していない岩石,鉱物が沢山見出されており,質状地と島弧(日本)の違いが明らかに出来る期待が得られた。また,ノルウェイ最南部にあるLyngdal付近にまとまって分布する花崗岩質岩石は,斜長岩,チャルノカイト(いずれも日本の花崗岩には伴なわない)を伴うが,角閃石,黒雲母の含水鉱物を含んでいる。今までにバルチック質状地のラパキビと呼ばれているものは,この角閃石黒雲母の〓D(水素同位体)ーXFe(化学組成)の関係が日本のものと完全に異っていたがLyndalの岩体はそれらとも全く異るタイプらしいことが判明しつつある。とくに含水珪酸塩類の水(OH)が極端に少いことが特徴である。これは質状地の地質学的問題に重要な意味をもつであろう。
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