研究分担者 |
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
片倉 賢 慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10130155)
三森 龍之 熊本大学, 医学部, 講師 (00117384)
江下 優樹 久留米大学, 医学部, 講師 (10082223)
吾妻 健 高知医科大学, 医学部, 助手 (40117031)
古谷 正人 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00035437)
野中 薫雄 長崎大学, 医学部, 助教授 (10039571)
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研究概要 |
中南米におけるリ-シュマニア症(「リ症」)とその伝播機構を解明するため,エクアドル共和国の本症流行地において臨床・疫学的調査を実施した.調査は夏期と冬期の2回に分けて行なわれた.1.夏期(7月〜9月)調査時の実績としは,(1)リ-シュマニア症の原因虫として新種Leishmania equatorensisが発見された流行地での疫学調査や,媒介昆虫(サシチョウバエ)の調査を行なったところ,同流行地では60%前後の「リ症」感染者が認められ,ヒト吸血性のサシチョウバエ4種の分布も明らかにされた.(2)前年度から開始したエクアドル国太平洋岸の流行地における治療経過について薬効の評価を試みた.(3)アンデス山中の街(Aluasi)で流行している新しいタイプの「リ症」について,患者,媒介者,保虫宿主(イヌ)の調査を行なった.特にイヌにおいてはELISA法による陽性率が高かった.2.冬期(1月〜2月)の調査時の実績としては,(1)太平洋岸流行地(マナビ県)の「リ症」患者に試行している新しい治療法(Paromomycinクリ-ムとGlucantimeロ-ション)の評価を試みたところ,90%以上の患者で治癒が認められ,この治療法の薬効は勿論のこと,低コストの薬剤として極めて高く評価された.(2)アンデス山中の「リ症」流行地において継続調査を実施したところ,Alausi(海抜2400m)では媒介サシチョウバエ(Lutzomyia ayacuchensis)での感染率が5%前後,Huigra(海抜1300m)では1%前後で,高地と低地におけるアンデス流行地での差異がみられた.Huigraは今回の調査で初めてアンデス型「リ症」の患者が証明された場所であり,今後の詳細な研究を必要とする.患者やサシチョウバエから分離されたLeishmania原虫については,目下,アイソザイム,モノクロ-ナル抗体,kーDNA等による分析を実施中であり,原虫種の同定が注目される.
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