研究課題/領域番号 |
02041066
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川島 健治郎 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30038690)
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研究分担者 |
姜 華 北京医科大学, 人民医院, 助手
賀 聯印 北京医科大学, 人民医院, 教授
杉山 広 国立予防衛生研究所, 主任研究官 (00145822)
柴原 寿行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70116937)
吾妻 健 高知医科大学, 医学部, 助手 (40117031)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 助手 (70037430)
寺崎 邦生 聖マリア学院短期大学, 教授 (80078675)
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キーワード | Paragonimus / Genetic variation / Speciation / Karyotype analysis / Isozyme analysis / Host specificity / China / India |
研究概要 |
日本産ウエステルマン肺吸虫の起源を明らかにする目的で、1990年7ー8月、中国東北部で調査研究をおこなった。黒竜江省、吉林省および遼寧省の18地区で中間宿主ザリガニ2種:Cambaroides dauricus,C.shrenkii 1,873個体を採集し、これらから、約5,000個の肺吸虫メタセルカリアを得た。これらをイヌ、ネコおよびラットに感染させ、成虫を得つつある。現在までに得られた成虫の形態から、これらは総てウエステルマン肺吸虫と同定され、染色体の観察から2倍体、3倍体のほか4倍体の虫が見いだされた。特に遼寧省、クアンジャン県産の2倍体肺吸虫では、日本産3倍体の特有遺伝子が高頻度に見いだされ、その形成に関与していることが示唆された。また、4倍体は2倍体から3倍体から形成される可能性の大きいことも示唆された。 ウエステルマン肺吸虫の原記載種に一致する集団を特定するために、模式産地に近接するインド東北部で、1990年11月に調査研究をおこなった。マニプ-ル州の6地区で中間宿主サワガニ数種(種名:未同定)79個体を採集し、これらから36個の肺吸虫メタセルカリアを得た。これらは、現在、動物感染実験中であるが、幼虫の形態からウエステルマン肺吸虫とヒロクチ肺吸虫と推定され、この地方で多発する肺吸虫症の病原虫には、少なくとも、この2種が関与していることが示唆された。また、今回の肺吸虫メタセルカリアの発見はこの地方での最初の記録である。 中国産およびインド産肺吸虫は、共に動物実験続行中であり、分類形態学的研究、宿主特異性の研究、細胞遺伝学的研究、集団遺伝学的研究の成果の詳細は次年度にわたる。
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